にじいろカルテ 3話 感想|新しい"心の治療"の在り方
もう言う事なしでしたね。
前回までは岡田脚本らしい温かみのあるファンタジーな世界観の中に
医療ドラマの定番である急患のくだりが入り込んでくるのに
ちょこっと違和感を覚えていたのですが、
今回は「この村だからこそ出来る」「深く繋がり合う人々だからこそ出来る」やり方で
本作なりの"治療の在り方"を描いていった感じ。
なんなら、今回の内容を届けたくて
本作が出来上がったんじゃないかと思えるくらいの完成度でした。
一度発症したら2週間、1ヶ月間忘れてしまうのを繰り返す
嵐(水野美紀)と氷月(西田尚美)がどうやってケアしていくか…という
彼女のメイン回ではあったのですが。
「治す事が難しい病気」が共通している点では決して他人事ではなさそうな
遠くで思いつめた表情を見せる真空(高畑充希)のカットや、
廃校での3人との会話を通して自分の悩みも共有出来た安心感から
終盤の「付き合って行くしかないですね」と前向きに捉えられた姿も盛り込む事で、
主人公の今後の人生を覗き見するような作りになっていたのも良かったです。
また、向こうのラーメン屋で仲良く営業の準備をする中年夫婦や、
いつものようにアナウンスをするバスおじさんの様子を映していたのも効果的。
真空も雪乃も、嵐も氷月も、ラーメン屋の経営者の夫婦も、バスおじさんも
表向きでは元気だったり強がったりしているけれど、
実はみんな心に傷を抱えながら、それでも何とか乗り越えて生きていっているんだろうなぁ…
それは何も"特別な事"ではなくて、誰もが経験する事なんだよなぁ…と想像させられました。
「誇りに思って欲しいの、自分の事」
「あなたは愛されて生まれてきて、愛されて生きてきたから」
認知症の患者との向き合い方を新たに提示したのはもちろんですが、
コロナ禍で苦労や悩みを溜め込んでしまった人々との感情の共有の仕方だったり、
いじめで自殺してしまいそうな人だったり、
我が子から介護を受ける事になって「自分は情けない…」と責める人だったり。
今回の話は世の中のいろんな事柄にも繋がるような気がして、
身に沁みてしまう濃い1時間だったと思います。