六畳間のピアノマン 4話(最終回) 感想|誰の心にもピアノマンは存在する
もう、お恥ずかしい事なんですが…
初回の頃は、冒頭で美咲(南沙良)がピアノマンを歌っている姿を見て、
歌声は可愛いけど、歌った途端に一斉に振り向くほどなの??って
思ってしまっていたんですよねぇ。
演奏で周りが色づいていった映像からするに、彼女はメインで取り扱われる事はなく、
本作がどんな物語かを紹介する案内役的立ち位置になるのだと勝手に決め付けていたから。
でも、今なら、何人も振り返った理由が分かります。
美咲の回は、これまでの3人が誠(古舘佑太朗)と直接関わっていたのとは違った
立ち位置で描かれるお話だったため、"スピンオフ"とか"1つの作品の派生"みたいな
また違った印象で見終えた感じですが…
この人もピアノマンに支えられて生きる力をもらえた一人だったんですね。
心が揺さぶられるほど感情移入してしまう回もあれば、
ちょっとそれは自分を優先しちゃってない?と思う回もあって、
全ての人物に完全に共感出来る訳ではなかったけれども。
ただ、境遇もキャリアもバラバラな4人を通して凄く伝わってきたのは、
今まで生きてきた中で必ず1回は"大きな挫折"を味わって、乗り越えた経験がある…という事。
キラキラした夢や希望が汚い大人の手で潰されて、道を踏み外しかけた時も。
大切な人を失った恨みで、復讐に手を出しそうになった時も。
知りたくもない、見たくもない自分の過去を突きつけられた時も。
身近な同僚が亡くなった時も。
いつの時代にも、どんな世代にも、誰の心にも、ピアノマンは存在する。
これが最後まで一貫して描かれてきたから、本作を好意的に見られたんだと思います。
コロナ禍で塞ぎがちになっている人々を、少しでも前向きにさせるために作られたという
意図も勿論あるかもしれませんが。
個人的には、自分とは考えや価値観が違くても否定はせず、
目の前でただ逆境を乗り越えて懸命に生きようとする人を純粋に応援してあげよう…といった、
神様が遠くから優しく見守るかのような、そんな温かさに救われた作品でした。
何かが大きく解決するとか、人物同士が大きな気づきを得るとかはないものの、
それでもどこかで、点と点で繋がっている…。
ミステリーはミステリーでも、これは温もりを感じさせるミステリーですね。
1話ずつよりも、全話見てからの方が凄く魅力的に映る作品だとも思います。
強いて言うなら…大友(三浦貴大)のメイン回も欲しかったですけど。
あの事件がきっかけで社労士や弁護士を目指すっていうのは分かりますけど、
なぜ生きていくにはリスクの高い(昼でもパフォーマンスしてるから、あれが本業よね?)
パントマイムの道を選んだのかが知りたくて…w
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