俺の家の話 2話 感想|10分で忘れる…をネタに出来る強さ(笑)
勢いが加速してきましたねぇ…
初回は「俺の家の話」だけあって
主人公の生い立ちや家族事情について紹介するくだりがあったために、
序盤が大人しくて中盤から徐々に"らしさ"が見えて来る…という印象を持っていたけれど。
そんな初期設定が済んだ今回は、終始クスクス笑える小ネタが満載でした。
YO YO!俺のじいちゃん要介護!から始まり、
「ヘルパー 夜這い むちむち」の検索まで。
特に10分前の事を忘れるくだりなんて本来笑っちゃいけない所なんですけど、
西田敏行さんが気持ち良いくらいにカラッとした演技をされるもんだから可笑しくて(笑)
一歩間違えたら顰蹙を買う恐れのある「認知症あるある」を可哀想と思わせる以外で見せるには、
ある程度の潔さがないと成立出来ないんだろうなぁ…と実感しましたよ。
そして、さくら(戸田恵梨香)の後妻業疑惑の件。
これは…彼女の言う通り、自分の仕事を全うしているだけですね。この意見はごもっともだ。
Aさん、Bさんと名付けて何人ものおじいさんから遺産をガッポリもらっているのは
はたから見れば詐欺行為ととれるでしょうけど、
後妻業というのは「遺産をもらうために死へと導く」職業であって、
彼女は死に導くよりもむしろ命を長く生かしてきたから、決して不正を働いたとは言えない。
さくらがヘルパーになった動機も特に明かされませんでした。
でも、少なからず分かるのは…"父親"くらい歳の離れた人と共に過ごす形で
その人と"家族"にもなりたかったし、誰かからの"愛情"を欲しかったんじゃないかな…という事。
寿一(長瀬智也)が息子の才能に関して悟っていた
「親でありながら、俺は親離れ出来ていない。いびつな男だ。」じゃないけれど。
寿一が25年間実家に帰らなかったのにもかかわらず、"家族"から逃れられなかったように、
彼女もまた家族という"思い出"から抜け出せない一人なのではないかとふと考えさせられました。
そう考えると、ぱっと見はコメディでテーマは介護でも、
軸はちゃんと"ホームドラマ“なんですね。
クビにはならなそうだったから、今後も寿一達と関わりながら
寿三郎(西田敏行)の世話をしていく事で、少しずつ人との向き合い方が変わっていく所も
さり気なく描かれていくんだろうな。
それにしても、本作以外にも言える事ですが、
最近のドラマは中盤や最終章まで引っ張りそうなネタを
早々に解決している傾向にありますね。(視聴者に考察させるためにそうする所もあるけれど)
さくらの後妻業疑惑なんて、まだまだ引っ張ろうと思えば引っ張れたでしょうに、
2話で言及してしまうとは驚きました。
縦軸以上に"描きたいモノ"があるんだ…という
脚本家の意欲やメッセージ性が感じ取れて、良いですね。
話の内容に戻るとして…最後の寿三郎の倒れ方は、
きっとこんな風に孤独死するケースもあるんだろうと思えるシーン。
寿一が試合で苦戦している時の歩き方と、
寿三郎の足のおぼつかない歩き方を交互に映してシンクロさせるけど、
後者はドラマのように劇的に立ち上がるなんて事はなかった…という
“理想と現実"を見せられたのが、余計に胸に来ました。
予告では無事そうで何よりでしたが、
寿一は介護の失敗によりプロレスとの繋がりを完全に断つ事になるのか、
はたまた二足のわらじを履くのか…来週も楽しみです!