アライブ がん専門医のカルテ 7話 感想|現実から目を背けてしまう人間のズルさ
今回は、引きこもりの息子を持つ武井(平田満)のエピソードと
縦軸部分である須藤(田辺誠一)のエピソードを並行して描いていく作り。
後者は今まで散々引っ張ってきたから、須藤が怪しげに動いてきた割には
あっさりと自分の犯した罪を認めてしまうんだなぁ…という驚きはあったけれど、
前者の患者も含めて「現実から目を背けていた人々の"覚悟"」を
二者の視点で描く話として考えれば、腑に落ちる内容でした。
医療過誤を利用してドラマチックな展開にするならば、
長年のキャリアと技術に自信のある医師が、
さらに上を目指そうと教授選に立候補し、そのために隠蔽工作を図る…
なんて流れもあり得るかもしれませんが。(あるいは、裁判で大々的に取り上げるか。)
あくまでも"手段"としてではなく、"自身が変わるためのきっかけ"として
医療過誤を扱う所が本作らしいし、医療ドラマではかなり新鮮さがありました。
以前見たとあるドラマで「みんなちょっとずつ良い人で、ちょっとずつ悪い人なんだ」
という台詞が印象に残っているのですが、この台詞と同じで、
根っからの悪人ってそうそういないと思うんですね。
須藤先生はいつまでも自分の腕に自信を持ちたがっていたし、
武井さんの息子は就活の苦しさから現実逃避をして、周りの事は見ないフリをしていた。
それを、ただ悪い人として描くのではなく、人間のズルさ、不器用さ、
中々上手く行かない理不尽な世の中…というのを絡めて
登場人物の心情を映し出そうとしているのがよく伝わります。
演出面では、最初はバックショットから始まり、光で顔を見えづらくさせたり、
正面からの撮影ではピントをぼかしたりなどして、
「何か一歩踏み出せない悩み(闇)を抱えているのかもしれない」と
息子に対して思わせておいて。
CM明けになって、保険証を出すという行為でようやく顔がくっきり見えた事、
震える手を映した事で、「変化」が感じ取れる工夫が施されていたのも良かったです。
また縦軸の話に戻りますが、須藤が恩田家に謝罪しに行き、
医大を退く意思が固まったという事は…
関河(三浦翔平)の立場はどうなるのでしょうかね。
薫(木村佳乃)の医療過誤の事件を追っていた理由は判明したものの、
強いて言うなら、彼の扱い方はあんまり上手くなかったような気がします。
自分の親も医療過誤で殺されたとか、もっと復讐心を抱えているのかと思っていたので…
この件のためだけに作られたキャラクターという感じがして、
関河から背景が感じ取れなかったのは少し勿体なかったかも?