心の傷を癒すということ 1話 感想|何でもない日々なのに泣かされる

 

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何でだろう…見ていて自然と涙が止まらなくなってしまったし、

どこかふわっと軽くなる心地さえしました。

冒頭で安(柄本佑)がピアノの演奏を止めるシーンの間の取り方が上手かったので

「これは信頼出来るかも」と思っていましたが、

最後までそのイメージが崩れる事のないクオリティで、本当に良かったです。

 

阪神淡路大震災を取り上げるというのは認知済み。

しかし、まだ被害が起こる前の話とはいえ、想像以上に「重たさ」「暗さ」を

全く感じさせない雰囲気になっていた所に新鮮味を覚えました。

同じ進路を目指す湯浅(濱田岳)と自転車早漕ぎ対決をしたり、

セッションをしたりする青春の日々、永野(近藤正臣)の存在の大きさ、

台詞を聞きたさにまた映画館で出会ってしまう終子(尾野真千子)との"運命"の可笑しさ。

そんな人々との関わりによって今の安が作られていく、

愛しい思い出達がたっぷり詰まった1時間。

軽やかなピアノ調の劇伴の入れ方も効果的で、掴みとしてはとても見やすく、

震災経験者が気を重くしないようにと配慮したんだろうな…とも思わされました。

 

全4話なので、初期設定として 子供〜精神科医院長と一気にタイムワープさせた

展開ではありましたが、不思議とサクサク進んだ感じはなく。

名札の「安田」という苗字をじっと見つめ続けるシーンを幼少期最後にしたお陰で、

歳月を経て、世間に好かれようと肩書きばかり気にする父に窮屈さを覚えたり、

「ええ名前やと思います!」とありのままの気持ちを伝えたりする安にも、

“不安の安"から"安心の安"に変わるのも、

在日というコンプレックスと常日頃戦いながら過ごしてきたのだという

空白の期間が想像出来た気がします。

 

始まる前までは、精神科医の安が震災経験者の患者と対話していく事で

当時の出来事を徐々に描いていく「ドキュメンタリー」的な作りになるのだと

思っていましたが。

実際には安の半生を描くドラマで、

誰かに癒しを与える安もまた誰かによって癒される…という温かさをも

物語に落とし込んでいくのだというのが、

どんな方向性で行くのかがよく分かった初回でした。

次回から本題へ…という所なのでしょうが、この感じなら期待出来そうです。

 

最後に超余談ですが、俯いた時の柄本佑さん、お父さんに似てきましたね。

 

 

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