少年寅次郎 最終回 感想|家族それぞれの愛の形と、寅さんの旅立ち。

 

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結局、平造(毎熊克也)とは分かち合えないまま家を出て行って、

“あの"寅さんへとなったんですねぇ…そう思うと、ちょっと複雑な心境。

 

くるま屋は優しい人ばかりだから、誰かガツンと言ってくれる人がいたならば

寅次郎(井上優吏)が出て行く事はなかったでしょうし、

もう少し駅に辿り着くのが早ければ、引き止める事だって出来たでしょう。

ほんっとうに平造は、最後まで「素直じゃない」を通り越して捻くれた人だった…(泣)

けれども、そんな彼にも自分なりに奥さんを想う気持ちがあった事が

見受けられただけ、まだ救いはあったのかもしれません。

あれからどこへ行ってしまったのかが気になって仕方ない…。

 

男はつらいよ」シリーズは全く見た事なければ、

タイトルと寅さんがフラれる物語…くらいのざっくりした知識しか持っていない状態で、

単純に「岡田脚本だから面白そう」という目的で見始めた本作ですが、

そんな私でも予想以上に楽しめた作品でした。

寅次郎の子供時代が舞台なので、ファンの人だけが楽しめる

内輪寄りになってしまうんじゃないかと少し不安だったものの、

全体的に「母親がいる事の尊さ」「様々な形の愛情を受け取り育つ親子の物語」の作りで

“人気シリーズもののエピソード0″とは違った

1つの作品として成立していたと思います。

勿論、初見に優しいだけでなく、こうして寅さんが出来上がったんだなぁと

想像させる部分も多々あり、映画を見たくさせるある種の広告塔としても

ファンの人が本作を見て2倍楽しめる作品としても、

さじ加減が程よく盛り込まれていた印象でした。

 

寅次郎の旅立ちでしんみりしてしまってからの「お元気ですか?」の手紙、

そこからまとめに入る流れには急な感じがして、

全5話だから駆け足気味になってしまったのかな?とは思いましたが。

とにかく、最近にはなかったような穏やかで懐かしい「ザ・昭和」らしさが心地良く、

どの登場人物の気持ちも汲み取り共感させる心情描写も丁寧で、

毎回見終わった後は「上質なホームドラマを見たなぁ」という余韻に浸れました。

 

また、初めて見たのが恐らく「花より男子」での女子学生役だった井上真央さんが

今ではもうお母さん役にしっくり来るんだ…という驚きもあり、

寅次郎役を演じた藤原颯音くんも井上優吏くんも、凄く芸達者な訳ではないのだけれど

子供らしいあどけなさや繊細さがぴったりハマっていて、

役者面においても収穫を得るものが多かったです。

 

今期1,2位を争う作品がもう終わってしまった寂しさ…

男はつらいよ」1本でも借りて見てみようかな。

 

 

  

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