俺の家の話 5話 感想|能に縛られ続ける2人の人生
寿限無(桐谷健太)の遅めの反抗期は、案外あっさりと終わった。
まぁ…大人になってからだとあんな感じなんだと思いますよ。
父がクソジジイだと知ったら、家出をしたり能を辞めたり出来たはずだけど、
彼はそうはせず、いつも通りの生活を送る事を選んだ。
小さい頃から現在まで長い間人生を共にしてきた「能」だから…
捨て切れなかったし、捨てたくてもどうやって捨てたら良いのか
分かんなくなっちゃったんでしょうね。きっと。
大州(道枝駿佑)くらいの年齢で事実を知らされていれば
別の夢を見つける事も、親に対して思いっきり口答えする事も出来たかもしれないだけに、
感情を上手く伝えきれないまま「結局自分にはこの道しかないんだ」状態になってしまう
寿限無の姿は、ちょっと切ない。
でも、どうしようも出来ない怒りを
寿一(長瀬智也)にぶつけられただけでも良かった。
身近な兄の存在がいた事が唯一の救いか。
終盤の「どこ乗れば良いの?」「ふふ…俺の隣だよ」の会話は、
実際には車のどこの席が空いているのかを聞くくだりでも、
その奥底には、初めてお互いを兄弟だと認識した2人が
不器用ながらも兄として、弟として"同じラインで"接しようとする
真っ直ぐな気持ちが込められているようで、妙な温かさを感じるシーンでした。
なので…ここは直に解決すると思いたいです。
「能」に縛られていたのは、寿三郎(西田敏行)も同じで。
妻が里帰り出産している時、アルコール中毒で倒れた時、イタリア公演の時と
事あるごとに女性と親密な関係を築くのは褒めたもんではないけれど、
何もかも捨てたい…でも人間国宝に選ばれたのがきっかけで
世間の目を気にしてしまって、結局は捨てる事を諦めたという所は分かる気がしました。
(性欲はむき出しだったよねっていうのは置いといてw)
家族写真も、誰かが能面の時を除いては、一度しか撮っていない。
まともに全員で旅行も行けないほど「能」に時間を費やし、縛られてきた人生。
そんな家族が「やらずに後悔よりやって後悔」というスタンスでいるのは、
“今"の観山家らしいなぁ…と思います。
このご時世だから、いつまたどこかで再拡大して、あるいはいつ終息するのかも分からないし。
最期になるかもしれない家族旅行、何も問題が起きずに
思いっきり楽しんでいって欲しいです。
ところで…あれだけ女性と交流があるなら、寿限無以外にも隠し子がいても
おかしくない気はしますよねぇ。
さくら(戸田恵梨香)が…って事はないのかしら。
っていうかそれ以前に、旅行から帰って来たら姿も家の物も消えてそうなんですけど…(笑)