オールドルーキー 7話 感想|梅屋敷が初めて見せた涙
ザ・王道の展開。でも、マネジメントの話で初めて涙腺に来てしまいましたなぁ…。
高柳(反町隆史)が3人に「吉木がパラリンピック選手だというのは捨てて、
一アスリートとしてリスペクトしろ」と言っていたシーンがあったんですが、
その言葉がただの"ドラマ用台詞"では終わらず、
終盤の試合シーンを長めに映してくれる所や演出にも
しっかり反映された作りになっていたのが良かったですね。
特に、天井に向かって高く上げるボールをスローモーションで撮ってからの
ショットの緩急のつけ方には、テニスだろうが車椅子テニスだろうが関係なく
「私たちは今"1つの試合"を見届けている」そんな臨場感を感じさせました。
そして…車椅子で動くカットも度々見せて、このスポーツの凄みも届ける。
メインエピソードに関しては、1人の選手に向き合う姿を描くという点では
今までの中で一番力の入ったエピソードだったんじゃないかと思います。
吉木(福山翔大)があそこまで自分を追い込むほどの背景は掘り下げられなかったし、
実際の選手ならもっといろんな事を抱えているんだろうけども、
世相を織り交ぜながら、「ああ、彼も目の前で苦しむ人を何人も見てきたんだろうなぁ」
「それが今の彼にとってプレッシャーになっているのかも」とは何となく察せられる
台詞運びも上手いです。
で…もう1つ上手いなぁと思ったのは、
いつもは何かと公私の"私(プライベート)"で話の腰を折りがちな本作でも、
今回の場合は、物語を引き立てるようにサブエピソードを絡ませていた所。
…梅屋敷(増田貴久)と姪っ子の件ですね。
まずは「アスリート人生を退いても幅広く活躍できる者」である新町(綾野剛)と、
「アスリート人生を退いたら将来の選択肢が限られている者」である吉木で対比をとり、
絶望感や焦燥感を漂わせてから、最終的に「夢与える者」である吉木と
「夢憧れる者」である姪・桜(池端杏慈)の2人を対比した話へと
グラデーションを重ねていく。
そう…大枠で言えば、2組(4人)に共通しているのは「セカンドキャリア」なんですよね。
そんな2組の関係性を描いた事で、前半〜中盤の吉木の心情の揺れ動きも
物語上でちゃんと意味のあるものになり、
結果、見応えや視聴後の爽やかな余韻に繋がったんじゃないかという気がします。
まぁ…冒頭で「メインエピソードに関しては」と書いたのも理由はあって。
今回は「セカンドキャリア」が共通項の2組の対比から織り成すドラマを面白く見ただけに、
合間合間に挟まれる果奈子(榮倉奈々)のシンデレラストーリーが夢物語に映って
本筋の話の腰を折ってしまった感は否めませんでしたけどね。
だって…いくら彼女もセカンドキャリアを歩んでいるにしても、
“ブランド"を使って、トントン拍子で上手くいってますから(苦笑)
彼女のシーンだけが軽くて、どうも浮いて見えるのです。
中盤まではそこが気になりましたが、試合シーンと、初めて見せた梅屋敷の泣き姿に
感情が持って行かれて忘れかけたので、まぁ良いかぁ…という自分もいますw
これを機に、梅屋敷ももう少し仕事に誠意を見せてくれますように。