僕はどこから 3話 感想|「自分」がない者同士が共鳴し合う
てっきり今回で解決して、次回はまた別の案件を…なんていう
1話完結式だと思ってました。
毎回同じような事書いちゃいますが、起承転結の"起"が長いから
本来収めるべきであろう終盤のシーンの"転"の部分が持ち越しになっちゃうんですよね。
しかし、"起" いわば、玲(笠松将)の置かれる環境、玲と母親の関係性といった
人物紹介を多めに描写した事によって生まれた良さが感じられたのも確かで。
トイレで着替え交換をする時に、本作のタイトルを引き出す形で、
薫(中島裕翔)と玲が互いに「誰かに否定され続けた自分」である事が分かって
“共鳴し合う2人"を表現したシーンは、何とも印象に残るものがありました。
千佳(上白石萌歌)の方は、謎めいたキャラクターの割にはちょっと軽くて
本作の世界観で浮きがちな気もするのですが、
その分、主演の中島裕翔さんが、将来がどうなるか分からない不安や葛藤と
常に戦っているかのような現代の若者特有の心境を丁寧に演じられていたり、
気軽に近づけないような奇妙な佇まいがゲストの笠松将さんにハマっていたりと、
それぞれの役者さんがカバーして物語を魅せて行っている感じです。
自分が今やろうとしている行為の汚さと
「これで良いのだろうか」という純粋な心の対比=ズレが
薫が替え玉受験に堂々と取り組もうとする事で徐々に大きくなっていく様は、
滑稽でもあり哀しげでもあります。シュールさがあってまた面白い。
取り憑かれていると思える程、玲になりきっているという事は…
表面張力、最後に見えたほんの殺意から察するに、
次回は犯罪に加担してしまう衝撃展開が待っているのでしょうか。