病室で念仏を唱えないでください 1話 感想|テーマはしっかり描き切ってください

 

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まぁ、脚本家が近年では「ダメ恋」「きみ棲み」「はじこい」などの恋愛ドラマを

得意とされているので、(以前同じようなジャンルはやられた事はあるにしろ)

医療ドラマとなるとどうかなぁ…?とは思っていましたが、

ああ、やっぱり描き慣れていないのね…というのがある意味分かりやすい初回でした。

 

何というか、名前負けしている感じ。

プールで人目を憚らず座禅を組んだり、僧侶なのにエロ本が好きだったりと、

本筋に関係ないコメディパートでは主人公・照円(伊藤英明)の奇抜さが

描けてはいるのですが、

医療ドラマならではの患者に向き合うシーンとなると

「僧侶と医者を掛け持つ主人公」のトンデモ設定がまるで活かせていない。

設定が設定なんですから、病院だからと制服に着替えないで、いっその事、

袈裟姿のまま手術も応急処置もする変わり者!

というキャラクター造形にしてみても良かったんじゃないですかね。

 

一応好意的に解釈したとしたならば、失った命を成仏させる仕事をしているだけあって

人一倍「死」に敏感で「生」に執着を持っている…

ここで従来のものとは違いを出したかったのかもしれませんが、

生きて欲しいと願うのは医者全員同じだと思うので、それだけだと弱いと言いますか。

もう1つ弱いと言えば、終盤で怒りのお経をぶつけるシーンも。

毎回の見せ場にするには、ただ念仏を唱えているだけでは平坦過ぎるので

(宗教で実際にあればの場合)最後に「かーつ(喝)!」と声を張る事でメリハリをつけるか、

照円の気迫に満ちた表情を CGやエフェクトなどで強調させる演出をした方が

面白くなる気がしました。

 

「生死とは?」が本作テーマの割には、笑いながら患者を搬送する医者とか、

心臓マッサージが緩いとか、患者を必死で助けようとしているのが照円だけで

周りは何もしていないとか、所々で作り込みの粗さが目立ってしまっているのが残念。

そして、これは初回だからなのかもしれませんが、

不倫だの足切断だの、残された少年だの、濱田(ムロツヨシ)の陰謀だの、

あらゆる要素を詰め込み過ぎて、結果ぶつ切りの流れになり、

生死を描く要となるであろう「人間模様の深み」が全く感じられないまま

サーっと見終えてしまった印象を受けました。

母と息子2人のエピソードも、何だかとってつけたようで…。

 

タイトルと「僧侶×医者」の組み合わせに惹かれて、期待していたんだけどなぁ。

まさかこんなに普通の医療ドラマだとは思わなかった。話は悪くはないんですけどね。

 

…しかし、まだ月曜の「病院の治しかた」が控えていると言うのに、

同じジャンルのドラマも4本目となると、見るのもちょっとしんどい。

同じ日に9時10時どちらも…ならまだマシなんですけど、

月火木金土でほぼ毎日見る事になっちゃいますから。

だから、全部を完走出来る自信は本当にないです(笑)

 

視聴率の取りやすい定番ジャンルで行こうとしたのが、たまたま被っちゃった!

という所なんでしょうが、去年も弁護士モノ3本でやらかした上に今年は5本なので、

真面目に各局で話し合いした方が良い案件ですよね。

比較されるわ、「もうお腹いっぱい」と言って最初から諦めるドラマが出てくるわで、

ジャンル被りで何か得する事があるのかな。

 

 

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