王様に捧ぐ薬指 2話 感想|夫婦になる覚悟
綾華(橋本環奈)と東郷(山田涼介)の設定である
「貧乏だが、親からの愛情をたっぷり受けて育ってきた大家族の長女」と
「大手企業の社長で、周りからの知名度も高い御曹司」を前面に出し、
そんな格差ある2人が突然夫婦に!?という
シンデレラストーリーの印象を強く与えていた前回(=初回)とは一転して。
今回は、偽装の夫婦生活の始まりを描いていたのもあってか、
ラブコメディの雰囲気が増した感じですね。
まぁ…まだ現段階では"ラブ"な関係にはなれていないので、
コメディと言った方が近いんですけれども。
ハチ(森永悠希)がつい東郷の過去の件で口を滑らせてしまって、
さっきまで「あ〜撮影終わった。ご褒美にチョコ食べよ♪」なんて素の表情をしていた綾華が
その状況を察した途端に、急に泣き顔になる切り替えの速さと言い、
綾華の履いている靴下に穴が見つかった時の東郷のスムーズな対応と言い、
やっぱりお2人のコミカル演技に安定感があるからか、見ていて純粋に面白いです。
面白いと言えば…もう1つ書いておきたいのは、
「キモ!…でも姉ちゃんをよろしく」と陸(長尾謙杜)が言った時の
間合いの匙加減の良さもかな。
役者陣と演出双方で、早くも馴染んでいるような気がします。
そして、ライトに楽しめる部分を持ち合わせながらも
何気によく作られているなぁと思うのは、
最終回に向けて、きちんと逆算された脚本になっている所。
前回の感想でも書きましたが、本作の内容はこの枠らしく、至って王道です。
しかし、王道だからこそ、「歳月を重ねるにつれ、いつしか本物の夫婦になる」
という明確な最終目標に向けて、全体の構成を組み立てやすい利点があるとも言いますか。
本作の場合は、"火10あるある"を1話内でどこまで進めて、
2人の変化をどこまで描くか…そういった取捨選択が丁寧になされているんですよね。
綾華と東郷のエピソードに絞って書くなら、
今回は、目先のメリットのために結婚を選んだ2人が
本物の夫婦を演じる"決心"を描いた回になっていて。
「結婚は夫婦2人だけの問題ではない」とはよく耳にするもので…
利益の上で成り立っている夫婦であろうが、純粋な愛で結ばれた夫婦であろうが関係なく、
2人を繋いでいるものは家族の存在である事。
そして、"その人の妻or夫"になる以上は、
相手の家族にも向き合い、受け入れる覚悟が必要である事を、
2組の家族の祝儀を絡めながら地道に描かれていたと思います。
ティーパックでの紅茶の作り方すら知らなかった綾華が
東郷の親戚の前でどっしりと構える強さを見せたり、
王子様な性格が故に自分の落ち度を認めなかった東郷が優しさを見せたり…
(↑まだ素直になる事に慣れていないのか、許した後に目が泳ぐのが可愛らしい(笑))
夫婦生活を通しての2人の成長が既に感じられて、微笑ましかったです。
で、そんな変化を描いた所で、
ラストは「愛はなくても、思い出だけは増えていくらしい」のナレーションで締める。
このナレーションも中々粋なんですよね。
誰かとの思い出は、相手への愛情があるから生まれる訳で…
2人の今後に期待が持てそうな、余韻のある締め方でした。