親愛なる僕へ殺意をこめて 1話 感想|もうひと盛り上がり欲しいかも?

 

 

するすると進んで行く、見やすいサスペンスだなぁ…。

初回を見た印象としては、そんな感じ。

まぁ、良かった所と気になった所、どちらの意味も含まれているんですけどね。

 

まずは良かった所について書くとするなら…

露骨な"煽り"演出がない事、そこに尽きます。

考察で楽しませる作品って大体、次に何が起こるか想像しやすいくだりを

意図的に引っ張ったり、物語の鍵となる当時の事件を一部切り取った回想を

何度も流したりするのが多いイメージで、

そういった演出をされると個人的には冷めるタイプなんですけど、

本作の場合は溜めずに次々展開していってくれるため、

話の進みの遅さに対するストレスが一切生まれません。

特に、指を切られる、トンカチで殴られる…あの拷問シーンは

見た目からして過激でインパクトに残りやすいので、

あそこで煽ってしまいたくなるものを、事の一部始終を済ませてから

CMに入るという形をとっていたのには好感が持てました。

 

あとは、基本的には主人公中心の物語に終始していた事。

サスペンスモノの初回でありがちな「登場人物の多さ」だけを前面に出して

話を充実させるのではなく、

主人公と〇〇はどういう関係で、馴れ初めはどんな感じで…と

エイジ(山田涼介)と周りの人々との関わりを順序立てて状況紹介していたのが、

見やすさに繋がったと思っています。

 

じゃあ今度は、気になった所はどこなのか?についてなんですが…

先ほど「煽り演出がない」「見やすい」と書きましたが、

それって裏を返せば、「真面目過ぎる」ともとれるんじゃないかなぁと。

つまり、エイジが二重人格だと自覚する過程、

事件きっかけで日常生活に支障をきたし始める流れや、振り回されていく様子など、

事件が起こってからの出来事を順を追って書いているのが原因で、

サスペンスとしては盛り上がりがイマイチ足りない仕上がりになってしまっているんですよね。

同日同時間に放送開始した作品なので、

あえて裏の と比較するような事を書きますが…

出だしの掴みは本作の方が良くても、ラストまで見て

「次回も見てみたい」「気になる」と興味を湧かせる展開になっていたのは

そちらの作品だったと思います。

 

部屋からエイジを覗く、

若干唇がカサついた引きこもりの妹?が映るシーンが途中にありましたが、

後の拷問シーン続きのお陰でミステリアスさが薄まってしまったような気がしますし、

ナミ(川栄李奈)にまつわるエピソードも初回で見せ過ぎでした。

例えば…予約が成立して、エイジが約束の場所に入る前(入り口付近)に

ナミがやってきて、急にスタンガンで打たれる流れで一旦終わりにして。

そこからは、父・亀一(遠藤憲一)が意味深な行動をとっている所をチラ見せし、

さっきの引きこもりの女性…

で、次回予告ではなくラストで佐野史郎さんを初登場させる…みたいに、

主題歌に合わせて登場人物を畳み掛けるように見せていく形をとった方が、

サスペンスの醍醐味でもあるワクワク感が生まれたのかもしれません。

 

しかし、普段はオチに持ってくる事が多い二重人格の設定が

出だしから使われている辺り、ミスリードにはなってくるでしょうから…

そう考えると、門脇麦さん、遠藤憲一さん、佐野史郎さん、そして川栄李奈さんと、

個性派揃いのキャスティングで考察する楽しさはありそうです。

ナミについては分かりましたが、まだ脇役に関する情報も少ないですし、

今後も過度に煽ったり引き延ばしたりしない程度に、

じわじわ惹きつけられていくサスペンスになってくれれば…と思います。

 

最後に、「ミステリと言う勿れ」のスタッフが関わられているだけあってか、

(劇伴担当者は違うにしろ)劇伴も悪目立ちしないと良いな…と

視聴前は不安に思っていましたが(苦笑)

全体的に落ち着いたトーンで、登場人物の言動を引き立てるくらいの

塩梅になっていたので、そこも安心しました。

とりあえず、しばらく様子見してみます。

 

 

 

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