未来への10カウント 9話(最終回) 感想|これからも不撓不屈の精神で!
意外と…というのも何ですが、上手くまとまりましたね。
もちろん、「終わり良ければすべて良し」とまでは行かず、
桐沢(木村拓哉)に関する内容や設定を盛り込み過ぎてしまったために、
前半はそれらをゆったりと片付けていって
残った時間でやっと「京明高校対策」に突貫工事で取り掛かり始める…みたいな
時間配分の甘さが目につく所はあったんですが。
それでも、熱くなれる見所が押さえられていたから、
想像よりも満足に見終える事が出来たんだと思います。
部員1人1人に応援メッセージを贈るくだりには、卒業式を見ている感覚を覚えて、
これから新たな舞台へと羽ばたいていくみんなを鼓舞しているようで素敵。
ボクシング部全員で円陣を組むのも、"チーム"がはっきり見えて素敵。
どちらも学園モノでは王道なんですけど、
王道は王道なりに、視覚で印象に残りやすいという良さがある。
そこでバランスをとってきたのは巧妙な技ではあるなぁと。
そして…水野(山田杏奈)のリベンジもしっかり回収。
現実世界ではあんなに優しい言葉を
かけてくれないかもしれないけれども、
それでも、時を超えて再び戦った相手だと思うと、グッと来ますよねぇ。
視聴者によっては賛否両論ありそうな、インターハイ優勝まで見せなかった件については、
個人的には"あえて"描かないのが英断だった気がします。
本作はあくまでも「新たな未来に向かって走り出す人々」を描く作品であって、
シンデレラストーリーを描く作品ではないですからね。
運動部の憧れであろうインターハイにまで触れてしまったら
目標を達成した=ピリオドを打った事にもなってしまい、
極端に言えば、それはもう、本作の掲げてきたテーマからは離れてしまう。
人生はまだまだ長い。
桐沢と折原(満島ひかり)の二人三脚生活も始まったばかりだし、
高校生には夢や希望がたんまりある。
「どんな困難があっても負けずに立ち上がる事」を
意味する熟語「不撓不屈」をラストに持ってきたお陰で、
物語は終わっても、画面上ではもう見られないだけで
これからも彼らの挑戦は続いていくんだろうな…という"少し先の未来"を想像させられる
余韻を残す終わり方になっていたのは良かったです。
恋愛要素入れ過ぎ!もっとスポ根を見せて欲しい!
西条(村上虹郎)の見せ方が勿体ない!など、いろいろ不満はありましたが、
ここまで見てみると、それなりに"チームらしさ"は保たれていたんじゃないかとも思います。
キャスティングによる"大人の事情"はまぁ…
引退しても謎に部室にい続けて、途中から西条が登場するようになったのも、
本人には意欲があっても、大怪我を負ってしまう可能性の高いボクシングを
事務所の意向でガッツリやらせなかったからっていうのも
ありそうなんですけどね。←素人の勝手な憶測です
でも、基本的に誰かに偏る事なく、桐沢や部員たち、それぞれの見せ場を
ほぼ平等に作ってきたのは、近年の作品では珍しい気がします。
あの「あすなろ抱き」で話題を呼んだ木村拓哉さんだから、
ハグシーンにパロディを含ませるなどしてもっと遊びそうなものを、
贅沢に引きで撮ったのも。
“2人の結婚"がさり気なく分かる演出が施されていたのも。
話の腰を折らないように、恋愛パートを上品にまとめようという意図が伝わってきて、
最終回ではそこまで嫌悪感はありませんでした。
回想を見ると改めてびっくりするのは、当時の木村拓哉さんが
いかに暗い表情をされていてボソボソ声だったか…という事。
徐々に変わっていくと、元々備わっている「ザ・キムタク」っぽい頼もしさも感じさせつつ、
時にふとした影を覗かせる、"お馴染み"と"新しさ"が融合された主人公になっていたと思います。