G線上のあなたと私 3話 感想|人間模様のリアルさの中にほんのファンタジー
良いドラマだなぁと思えると、脚本が良く思えてきて、
次に演出、今度は役者のハマり具合と…どの要素にも良さを見出してしまいます。
私にとって、本作はそんな作品。
特筆すべきは、主演の波瑠さん。
今回のガチ泣きの演技は特に光るものがありました。
個人的には、どこか澄ましているような、
奥に潜んでいる感情が見えてこないようなイメージを
今までの作品を見てきて持っていました。
しかし、レンズが涙に溜まってしまったり、
曇ってしまったりするのには「本気」が伝わってきて
更には言葉を1つ1つ選んでいるかのような"溜め"の塩梅も絶妙な事から、
ああ、誰かのために泣けるんだなぁ…と納得させられる演技が出来るんだという
新たな収穫を得た気分でした。
他にも、也映子(波瑠)と理人(中川大志)の2人を支える中心軸として
大人の存在感を発揮する松下由樹さん。
自分の方を振り向いていないと分かっていても、気持ちには真っ直ぐでいたいとする
モヤモヤした悩みを抱える、今時の大学生を体現する中川大志さん。
そして、上品でふわっとしたキャラクターから僅かに垣間見える冷たさの
緩急が素晴らしい桜井ユキさんなど、
本作はどこか等身大で魅力的に映る役者さんばかりです。
これは、キャスティングをしたプロデューサーさんの力が大きいんだろうなぁ。
あ、でも…鈴木伸之さんにはそろそろ有島系統じゃない新たな役で
名を残す所を見たいものですが(笑)
細かなシーンですが、
LINEでメッセージを返したら続いていた会話が突然途切れてしまって、
「何か間違えちゃったかな…これ絶対ダメなやつかも…」と
一人で右往左往する描写があるのにも共感出来てしまいます。
感情表現の見せ方といい、カラオケに行ったら本来やるべき事をサボっちゃうのといい、
些細な部分でもあくまでもリアルに、丁寧に描こうとしているのが伝わります。
感情表現に関しては、あのガチ泣きは作りようによっては泣かせようとしている
狙った路線になってしまいがちですが、
メガネに涙が溜まっても語り続ける…というギャグ(?)的な要素を盛り込みつつ、
途切れ途切れの言葉の伝え方に不器用さも感じられて、
愛らしいキャラクターに映させるのが上手いと思わされました。
そんな「特に才能はない、普通に生きる人々の物語」として、
全体的に良い意味でドラマじゃないような展開を描き続けてきてからの
終盤の壁ドンラスト。
突然ファンタジー要素が入ってくる様も、最後まで見ていて飽きないです。
う〜ん、火曜日も土曜日も、贅沢な1日を過ごせているわぁ…。