俺の話は長い 2話 感想|話の筋は通る満と、依存し合う家族
其の三「焼きそばと海」
ニートだと早く働けよと思っちゃうし、あれこれ言っても生意気にしか聞こえなくて
基本的にその人が好きになるって事がないんですけど、
なんでしょうね、満(生田斗真)は全然憎めないのです(笑)
例えがめちゃくちゃでもぶっ飛んでても、話の筋は通ってるんですよねぇ…
前回なら「ビジネスの基本として相手の好きな物をリサーチする事が大事」とか、
今回なら「どうしても出たくない授業に出るからこそ、
吹っ切れた事になるんじゃないの」とか。
だから前回の感想のサブタイは「屁理屈」じゃなくて敢えて「理屈」にしました。
春海(清原果耶)が不登校だったのは、気になっていた男の子と失恋したからだと。
最初はそんな気はなかった。
友達が彼が気になってるんだという話をただ聞いていただけだった。
しかし、聞いていくうちに恋が芽生え始めてしまった…。
彼女は人生でおそらく初めてであろう「苦い経験」を覚えた。
「大抵の事は傷ついて覚えるしかないんだよ」
「たまに教えてくれる人もいるんだけど、
聞いてる時はそんな大事な事って気付かないもんでさ」
海を見て、なぜ失恋した時はそこに行きたがるのかが何となく分かった春海。
満の1つ1つの言葉が胸に染み渡り、徐々に心が開いていく変化が伝わる
清原果耶さんの演技が素晴らしかった。
会話劇はどれも面白いんだけど、やっぱり、満と春海の間に流れる空気が好きだな…
と改めて感じられた回でした。
お二人、似た者同士ですよね。
其の四「コーヒーと台所」
こちらはまた何とも切ないお話。
母・房枝(原田美枝子)が 息子が再び立ち直ってくれるようにと期待している気持ちを
綾子(小池栄子)は知っているから、
母を想うばかりか、「コーヒーを淹れて貰うことと息子が定職に就くこと、
どっちがお母さんにとって幸せか分かるでしょ?」と
満につい突っぱねた言い方をしてしまった。
満は彼女の強さに押され、じゃあ良いよ!と言い残し部屋を出て行ってしまった。
しかし朝の5時半…房枝はいつも通りに起床。
足音が聞こえてきて、ついつい振り返るけれど、そこには綾子の姿があった。
「自分がお願いした事ではない」とやんわり言いつつも、
息子のコーヒーと愛情で満たされる「小さな幸せ」をどこかで欲していた房枝。
お茶を待っている姿を見て、自分がその幸せな時間を壊してしまった事に気付いた綾子。
壊してしまったのに気付いたなら、本来なら満の所に謝りに行って
母のためにコーヒーを淹れてくれないかと頼むべき流れなのでしょうが、
その行為をしたら満のニート生活は終わらない事になる訳で。
でも、いつもの朝が来ないかと期待してしまっている矛盾と葛藤…
家族は結局、誰かの優しさを求めて、依存し合って生きていくものなのだという
皮肉が込められた、ライトに見えて考えさせられるような回でした。
相手がいればありのままの気持ちをぶつけられるけど、
自分の事となると素直になれない満。
家族の前ではコーヒーに未練があるなんて言わない。言えない。
直接的には分からないけど、箱を捨てないって事はそういう事でしょう?
コーヒーを淹れる時の眼差しは真剣に見えるのに…意地を張って売ってしまった。
本当にそれで良いの?全然吹っ切れた感じはしませんでした…。
話は戻っちゃいますが、房枝が席に着いた時にかかり始めた主題歌のタイミングが絶妙で。
温かいけれど少し哀愁も感じられるような曲調に、ああ…この作品にしっくり来るな…
とも感じられました。
***
本作は2話構成なのもあり、今回から感想も2つに分ける事といたしました。
前回は想像していたのと違う戸惑いがあり、
あまり良さを見出せられないまま終わりましたが、
「本作はこのスタイルで行くんだ」と知った上で今回を視聴してみた所…
おや?意外と面白いんじゃないか?意外と深い内容なんじゃないか??と
本作への好感度がじわじわ上がってしまう結果に。
会話劇も好きですが、個人的には不憫な役の安田顕さんがお気に入りです。
どこか頼りなくて、へなっとしてる所が愛らしいのです(笑)
ギター、残している事綾子にバレなくて、
そしてバーに置いてもらえるようで良かったねぇ…買い直したら高いしね。
房枝の喫茶店にやってきた男の子の真意も気になる所ではありますが、
バーテンダーの家族が金持ちかどうかも気になります。
4LDKオーシャンビューが庶民的な部屋…
経営してるバーは集客率が極めて高い訳でもなさそうですし、
親が大手企業の社長だったりするんですかね?恩恵を受けているとか?