リバーサルオーケストラ 6話 感想|エリートになり切れなかった者ならではの苦悩
もしかしたら、前回と今回で、ある意味セットになっていたのかもしれませんね。
まぁ…登場人物が多いが故に、個々のエピソードを膨らませ過ぎて
物語が散漫としていたという、前回で感じた印象は変わらないし、
それが原因で話の進みが遅くなっていたのは事実ではあるので、
あの作りに完全に賛同とまでは言い切れませんが。
前回で何かと"含み"を持たせるような描写が続いたのが、
今回で綺麗さっぱり回収されていくのを見て、
こういう展開にしたかったからか…とちょっとだけ腑に落ちた自分がいました。
玲緒(瀧内公美)は案の定といった所か、
幼少期は初音(門脇麦)と同様に"天才"と称され、
「才能のある人は忘れない」と言う記者・廉太郎(山中聡)から
取材を受けていた過去がありました。
しかし、覚えてもらえていないって事は、
世間の期待に上手く応えられずに挫折した…(そして玉響に)と察せられる訳で。
演奏会の件で再びブランクに陥りそうになる彼女に、朝陽(田中圭)と藤谷(渋川清彦)を
絡めていたのが良かったです。
藤谷と玲緒は、大まかに言えば「エリートになり切れなかった者」同士。
朝陽は天才指揮者として立派な活躍を見せているので、
一見2人とはカテゴリーが違うように思うかもしれません。
ですが…ここで思い出されるのは、前回の終盤で、かおり(相武紗季)の口から語られた
「『音楽と生きる』と決意したきっかけになった初音との出会い」。
彼もかつて、音楽を続けていく事に躊躇いがあった時期を過ごしていた点では、
2人と共通していると言えるでしょう。
団員たちに裏切られ、自信をなくし、音楽を諦めようかと考えた経験もある彼だからこそ、
この手のパターンだといつもなら初音に任せるものを、
今回はあえて自ら介入しようとしたのにも納得出来ましたし。
また、前回のそういったエピソードがあったために、
本当は音楽が一番好きなのに、なぜ自分を偽るのか?と図星を突く
朝陽の描写にも説得力を感じさせました。
オケの成長過程において、初音の存在や演奏に影響を受けた者が、
今度は誰かに影響を与えていく…という見せ方は丁寧な印象があります。
そこがやっぱり、登場人物を応援したくなる理由に繋がっているんでしょうね。
ただ、その部分で今回個人的に、ちょっとだけ惜しいかな?と思ったのは、主人公の扱い。
主人公の割には存在感が薄くて、メインエピソードにあまり参加していないからか、
グッズ担当の役どころになってしまっている感は否めませんでした。
オーケストラで大所帯である以上、
他の人の見せ場も作るのはごく自然な事だと思いますし、
別に、もっといろんな人と絡めて主人公の出番を増やせ!と言うつもりも全くないですし。
今回のキーワードになっていた"元天才〇〇"を、
玲緒や藤谷と重ねながら描いていたのも理解出来ますが…
こう言っちゃなんですが、内容を見ていると、
主人公がいなくても成立している話にはなっているんですよね。
1話分使って団員1人の事情を描いた回もせっかくあるんですから、
例えば、初音の"お陰"で「音楽を再び楽しいと思えるようになった」「音楽を続けられた」
そんな風に変われた蒼(坂東龍汰)やみどり(濱田マリ)の演奏シーンを、
まだ僅かに迷いがある玲緒が練習終わりにたまたま目撃して。
で…見られたのに気づいた2人が、当時と今とでの心境の変化を何気なく話した事で、
やっぱり音楽が好きだな…と心動かされるエピソードが
復帰シーンの前後に挟まれていてもアリだったのかもしれません。
まぁ本当に、強いて言うなら…くらいのもので、内容自体は全然悪くなかったんですけどね。
恋の三角関係に陥りそうな所はベタだったり、
本宮(津田健次郎)の嫌がらせが
バス会社ごと訴えられるレベルで凄くしょうもなかったりと
多少のツッコミどころもありますが(笑)
私としては、前回からの今回で、少し持ち直した感じです。