イチケイのカラス 3話 感想|譲れないものは何か?で変わる分岐点
今回はいろんな意味でイレギュラーな回でした。
まずは1話完結型のエピソード。
初回も2話も最初は被告人が真っ先に疑われるものの、
調査してみると実際は不慮の出来事だったり、ある人が招いた印象操作だったりして
結果的に疑惑も事件の謎も晴れて終わります。
しかし、今回の場合は「罪を犯してしまった事」自体は変わりません。
が…真相が真相なだけに、同情したくなってしまいます。
生きて罪を償えとはよく聞くけれど、それは被告人だけでなく、
現場に関わった碧(渡邉心結)も自分のせいで彼の開きかけていた人生を
奪ってしまった事を痛感しなければならない訳で、死にたくなるほど辛い…。
逮捕されても、出所しても、これから彼女が過ごす時間は
“大切な人がいなくなった事を噛み締める時間"に変わる…という、
若さ故に守られてきた側の心理も突く、残酷な余韻の残る話。
せめて駒沢(小日向文世)が「あなたはやり直せる。私は信じています」と
藤代(岡田義徳)に言ってくれたのが救いでしょうか。
この先は不透明でも、きっとこの人が何らかの形で
2人を見守っていてくれるんじゃないか、いや、そうしてくれそうだって思えるオチに
少し柔らかな気持ちになれました。
もう1つイレギュラーだったのは、
通常だったら関係性も深まるであろう6,7話辺りでやりそうな
サブキャラクターのメイン回を、3話に持ってきた事。
この構成は意外でしたが、駒沢の"自分を信じる"正義感は
今のみちお(竹野内豊)になるまでのルーツにも繋がる気がしましたね。
1話完結型のエピソードだけでなく、初心に帰って改めて案件に向き合おうとする
彼のリスタートの話も味わえる満足感…。
こんな部長がいて初めて自分も刺激をもらえて、
プロ集団とも呼べるチームワークが出来上がっていくんだろうなぁ…という説得力がありました。
で、次回は坂間(黒木華)が職権発動するというので、これまた展開が早いです(笑)
後半はやっぱり、中ボス、大ボスと強者に勝負を挑む流れになっていくんでしょうかねぇ。
実娘の設定はちょっと加え過ぎな気もしたし(なくても支障のないレベル)、
前回は事務総長やその息子に対して"法廷界の闇"をズバッと斬りこむ爽快感があったのに、
忖度して証拠を隠蔽しようとしていた警察は放置したまんまなんだ…
「ただ単に信じる事は、知る事の放棄」など、
みちおや駒沢が言っていた考えさせられる台詞を直接届けるシーンがあればな…
というモヤモヤした部分は出てきてしまいましたが、そこは次の話に期待したいです。
演出家が変わったのか、今までよりもテンポの良さが落ちた気もしましたし。