ハヤブサ消防団 8話 感想|アビゲイルによる侵食、本格始動。
冒頭の10分間から、力の入りようが半端ないですね。
当時の事件で信者12人が殺された理由に、ハヤブサの大半を領地にする目的に、
彩(川口春奈)に託した使命に…と、
まさか、アビゲイル騎士団の計画の全貌を最初からほとんど明らかにしてしまうなんて!
最終回まで勿体ぶりそうな内容を冒頭で持ってきた辺りに潔さを感じさせるとともに、
“最終章の始まり"を実感させられます。
そして、視聴者が最も疑問に思っているであろう「どうしてハヤブサなんですか?」
という彩の質問に対して、
杉森(浜田信也)が返した答え「ハヤブサでなければならないんです」で
タイトルバックが流れ出す…。
謎を強調した事で、今後の展開に注目が集まり、
物語にぐいっと引き込まれてしまう訳で…中々用意周到な構成と演出だったと思います。
新たな情報を混ぜつつ、今までの内容を再構築しながら
「彩は何者なのか?」を軸とした話が繰り広げられている間に、
ハヤブサ地区は信者でどんどん溢れ返っていきます。
踏切にも、通りにも、畑作業にも大勢の人。
高齢社会や過疎化が進んでいた集落だけに、新しくやってきた人々が周囲に歓迎され、
その地域にすっと馴染んでいく様は実にリアルなんですよね。
だからこそ、怖さが増して…
特に「さんかく」で店内を囲うようにして集まった信者を引きで映し出したシーンなんかは、
団員たちの結束や勘介(満島真之介)の抵抗も無力に思えてしまうほどの
アビゲイル騎士団の勢いが伝わってきて、ゾッとさせられました。
ゾッと…と言えばもう1つ、中山田(山本耕史)の背後に映子(村岡希美)が現れた件も
「ほん怖」並みにホラーでしたけど、
あれはあれで、中山田の反応が面白くて(笑)唯一の癒されエピソードでしたね。
で、ちょっとしてやられた感を覚えたのは、和尚・江西(麿赤兒)による巧みなミスリード。
麿赤兒さんがキャスティングされているので、何かありそうだとは以前から思いつつも、
前々回で大活躍を見せた事で、もう疑惑は薄らいでいたんですよ。
でも実際は、幼い展子(小林涼子)を保護していた過去があった。
前々回のエピソードがあるのとないのとでは、今回の離壇が増加している理由に
気づかなかった(フリをしていた)江西の様子も、見え方が違っていただろうし、
ラストの衝撃度も大きく変わっていたんじゃないでしょうか。
次回で最終回ですが…数年前から構想を練っていた計画を実行するアビゲイルに対して、
果たして、消防団の面々が太刀打ち出来るのかどうかは気になりますね。
満足度の高い本作の事なので、
納得いく形で終わってくれるだろうという期待の方が強いんですが、
正直、拡大放送もせずにまとまるのか?という不安も少しあります。
彩が普段から紫のものをまとっていないのは、「使命=仕事」と捉えているだけで、
実はどこかでアビゲイルから抜け出すタイミングを伺っているからなのか?
池井戸潤さんの原作なだけに、最後にどんでん返しで魅せる可能性も高いです。
ただ、どんでん返しはどんでん返しでも、太郎が時々紫の服を着ている事と、
すぐにハヤブサへの移住を決めたり、彩にまんまと騙されたりなどで
あまり慎重な性格ではない事から、
彩との幸せを選んで入信を決めるバッドエンドにはなりませんように。
いや、ないとは思いたいけれども、100%信用し切れないんですよ…w