明日、私は誰かのカノジョ 1話 感想|幸せという名の麻薬を追い求める女性たち
「きっとまた1ヶ月後には彼の事なんか忘れて、別の人を好きになってるんだろうなって」
「でも…この瞬間は本当に辛い」
親友であるリナ(横田真悠)のこの終盤の台詞よ。そして、誘いに乗ってしまうラストよ…。
「幸福は、麻薬なんだよ」がテーマなんだろう…とは分かっていたし、
一時的な快楽を求め、常に幸福に飢えた5人の女性が
少しだけベターな方向へ向かう物語なのだという事も見ながら掴めてはいたけれども、
彼女の心からの訴えがあまりにも切実で、あまりにも嘘偽りないように感じられて。
それぞれの行く先を見守りたいという興味を抱かせる、中々衝撃的な初回でした。
“1話1人×5体制"を1〜5話、6〜10話に分けて前後編でやるスタイルなのか、
初回は雪(吉川愛)を取り巻く主要人物の描写は必要最低限に押さえ、
あくまでも雪の内面に焦点を当てて描かれていた印象。
まぁ…30分ドラマかつ原作実写化ですから、削ぎ落としても支障のない部分は
かなり削ぎ落としていっているのかもしれません。
けれども、それ以上に良かったのは、「雪が今、どう感じているか?」が読み取れる
カメラワーク(主人公の姿を角度を斜めに変えては大きく映し、バックはぼかすなど)と、
インパクトを残す劇伴のタイミングの引き算が工夫されている所。
劇伴は全く流れていない訳ではありませんが、
基本的には1つ1つのシーンごとに溶け込む曲調になっており。
雪が価値観の違う相手に対して心のシャッターを閉じ始めたり、違和感を覚えたり、
パーソナルスペースにずかずか入り込もうとする相手に恐怖を覚えたりする時だけ、
良い意味で"引っかかり"または"ノイズ"のような
彼女の心理をそのまま映し出した劇伴が流れる。
彼女の全容はよく見えなくとも、その緩急のつけ方のお陰で
どんな人で、どんなトラウマを抱えているのかを覗き見する面白さがありました。
脚本家が三浦希紗さんだからか、とある1人の人生を描く所は「死役所」を。
レンタル彼女こそ風俗営業ではないものの、
「公知の職業ではない(言葉は頑張って選びました…)」点では共通しているデリヘル業界を
そこで働く者たちのリアルな視点で描いた所は「フルーツ宅配便」を。
そして、同じく事前に好みは分かれてしまうものの、
若者ならではの苦悩や人間臭さを描く所は「死にたい夜にかぎって」を
彷彿とさせる作品です。
これらの作品を視聴していて好きだった方は、本作も好みだと感じられるかもしれません。
2話はマイ視点の話になりそうなので、多分、2話から見ても大丈夫かな?と思っております。
他に感想や視聴を様子見している作品もありますので
今後も書き続けるかはまだ分かりませんが、
とりあえず、じわじわ飛躍していく"可能性アリ"な初回ではありました。
最後に、壮太役の楽駆さんは初めてお見かけしましたが、
不思議な雰囲気をまとい、空気を含んだような声が特徴的だなぁ…と。
そんな柔らかな佇まいの彼が優しさを見せているつもりでも、
彼女にとっては苦い傷に変わってしまう。
2人の対比からくる皮肉もまた、切ない気持ちにさせられました。
5/1追記:
3話はまだ未視聴。
興味深く見ている事は確かですが、他の録画も溜まっていて
感想を書くのにもキャパが超えてきてしまっているので、
本作は今後は視聴のみか、
強く響く内容だったらたまに書く…という形式をとらせていただきます。
まぁ、この感想自体、日付をずらして投稿したので
気づかない読者さんの方が多いかもしれませんが(汗)
一応、ご報告です。