監察医 朝顔(2021) 17話 感想|つけられるはずのない区切り
予定通りだったら夏・秋クールで放送されていたはずで、
恐らく"あの震災"を絡める事はなかったであろう本作。
ずれ込んで、こうして今回の話が出来上がったのも、運命というべきか…
なるほど、そんな見せ方で来たか〜…と思わされる内容でした。
生まれて8ヶ月の子供を亡くしても一見他人事かと思いきや、
実際は、家に帰れば"娘の生きた証"が残っているおもちゃや洋服を目にしてしまって、
「預かってもらっていれば、また元気に帰ってくるかもしれない」と信じ続ける
娘想いの母だった。
岡崎紗絵さんの細い体が、子供が亡くなった事で本当に精神的に追いやられて
ここまでやせ細ってしまったんだな…と感じられて、
それがまた辛い気持ちにさせられました…。
受け入れられるのを待っていてくれる話のすぐ後に、
ずっと見つかっていなかった里子(石田ひかり)の遺骨の一部が見つかり、
“死"という現実を突きつけられる話が来るのもまたキツい。
「あれから10年」って言うけど、区切りをつける事だけが全てじゃないな…と。
今までは、"何か"が見えてこなかったらずっとその事で苦しみながら、悩みながら
生き続けなければならない訳で、いつまでも過去を引きずって前に進めなくなるなら
区切りをつけるのも大事なんじゃないかと思っていた部分もあったけれど、
多分それは、自分の本当に身近な存在…両親や友達が亡くなった経験をまだ味わっていないから
言えるのかも…ですね。
今回の平の様子を見ていたら、甘い考えが変わりました。
このまま見つからない事で得られる幸せ、
「もしかしたらどこかで生きているのかもしれない」と思える
わずかな希望もあるのかもしれないのを、
遺骨があると連絡が来て、目の前にある事によって否定されて、
半ば強制的に受け入れざるを得ない状況にあるのは…中々酷ですもん。
せめて、平の記憶がはっきりしているうちに、嶋田がまだ生きているうちに
里子に会えたのが救いだったと思いたいです。
大じいじ、思い残す事がなくなったのか、最期は安堵の表情でしたけど…(泣)
あの弱って口が半開きの状態が、昔お見舞いに行った時のおじいちゃんまんまで、
凄いリアルだったなぁ…。
でも、恐らく20代前半の母親に対しても、平と朝顔に対しても、
震災を絡めた話らしく「これから強く生きていこう」と鼓舞を入れる形じゃなくて、
「受け入れられない時もあるよね」
「自分達が"母がいる"と思えば、目の前にいる(ある)のは"母"だよね」と
双方の気持ちに同情してくれる話になっていたのが、
ご遺体に対して向き合ってきて、
遺族に親身に寄り添ってきた主人公の姿を描いた本作らしくて。
それが逆に元気づけられました。
主題歌のタイミングも相まって、ここ最近の中では…というか、今までの中で一番?
満足度の高い回でした。
で、次回の「最後の悲劇」ねぇ…煽り予告をするスタイルはブレないんですな(泣)
今回で違う事件を取り扱っていたので、前回の黒フード男関係の事件は
私の解釈が間違っていただけでもう終わったんかな?と思っていましたが、
その話が本格的に展開されていくんですかね。
もう身内が不幸に遭うのは良いよ…大じいじが亡くなってしまったというのに。
それより、妹?弟?、つぐみ(加藤柚凪)がお姉ちゃんになっているシーンを見たいです!