半径5メートル 2話 感想|モヤモヤを埋めたい気持ちは世代共通
週刊誌を発行する出版社が舞台で、
同僚が奥さんが他の男性と浮気している"証拠"を見てしまって、
それを記事にして…っていうこれらの要素は、ゲスニックな方向に転んでしまいがちですが、
まさかこの手の設定で愛の尊さに胸を打たれる話を見られるとは思いもしませんでした。
自由奔放な宝子(永作博美)に振り回される形で仕事に打ち込んでいた前回とは違い、
今回の中盤以降は、風未香(芳根京子)の勤務外=プライベートの描写が多いのは
なぜだろう?と不思議でいましたが、
なるほど…丸山の奥さんの事情も絡めて"一人の女性"として扱い、
「どの女性にも満たされぬ想いを抱えている」を描きたかったからだったんですね。
丸山の奥さんが出張ホストを頼んでいた理由は、子宮頸がんを患って
子宮を取り除かなければならないと診断された時に、自分がこの先性行為も出来ず、
女として見られなくなる事に不安を募らせていた衝動から来ていたそう。
質問もなく自ら「性交渉は出来ます」と助言した医師はともかく、
不妊治療しても子供が作れなくて諦めてしまった後悔があるのなら
セックスレスを嘆くのも分かるものの、
歳を重ねてもしたいと思うものなんだろうか…?と、
まだまだ人生経験が浅い私からしたら彼女の気持ちには完全には同感出来ずじまいでしたが、
あの世代だとそんな人も結構いたりするんでしょうかね。
でも、普段そこまで意識していなくても、
いざ"女性を象徴するもの"である子宮が取り除かれると知ったら、
自分でも平常心でいられなくなるのかもしれない…とは考えさせられました。
そして、意外にもラブストーリーの面も持ち合わせている本作。
今回が男女のテーマだから尚更その雰囲気が強まっているんですが、
風未香と山辺(毎熊克哉)の事後を仄めかすシーンとか、マッサージの様子とか、
まだ深夜ではない時間帯に、しかもNHKで普通に描くんですねぇ。
中でも印象に残ったのが、丸山(尾美としのり)が鍋を洗うシーン。
「やっぱりこういう人だから結婚したんだなって」という抽象的な台詞を残しているのに、
中年の男性が年季の入った鍋を洗っているだけで
そう簡単には壊れない夫婦の関係性の深さを物語らせる表現には、唸るものがありました。
それに加えて、風未香と山辺もお互いに向けていた気持ちを知り、
翌朝になるとラブラブカップルのように見えるまでの流れでかかっていた劇伴も、
大人のラブストーリーである事を演出していて洒落てます。
芳根さん…普段は正義感の強い役が多いからかあまり意識していませんでしたが、
そう言えば可愛らしい声されているんだよなぁ…と思い出しました。
私も「うるさい!」って怒られたいです(笑)
山辺と付き合うとなると、ただの純愛で終わらなそうな気がしますけど、どうでしょう?