Dr.コトー診療所2004 特別編 3話 感想|主題歌だけが不足(泣)

 

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※本作のシリーズは去年夏の再放送で視聴済みですが、特別編「2004」は未見です。

※本作への愛は足りない頭で にしたためたので、

前回から純粋な感想として書き残しています。

 

私がドラマを名作だと感じる理由の1つとして「"間"がきちんととれているか」

挙げているんですが、やはりその考えは外れていないようです。

当時も思いましたが、台詞の量も、劇伴のかかるタイミングも絶妙なんですよねぇ…

 

島の人たちでどんちゃん騒ぎする時は思いっきり騒ぐ一方で、

大切な人の命と向き合う時は、やりきれなさと後悔の気持ちを

噛みしめるかのように沈黙の時間が続く。

ここで悲しげな曲調の劇伴を流せば山場として大いに盛り上がるだろうけど、

本作の場合は「あくまでも"添え物"だ」と言わんばかりに

劇伴がかかる頻度がとにかく少ない。

だから、どんな想いで話しているのか、その人にどんな思い出があったのか…

島で交わされている会話の内容にどんどん聞き入ってしまうし、

私たちは画面の外で無関係なはずなのに、

まるでその場にいる人々の間に流れる時間や空気感までダイレクトに伝わって来る

感覚にさえ襲われます。

 

物語は正一(小林薫)と剛洋(富岡涼)の試練のお話。

まずは正一のターン。昌代(朝加真由美)の看病をしながら足を踏み外し、

夫婦共々倒れてしまった時の「自分が"いつもの彼女"を奪ってしまった現実」に

ハッと目が覚めたような表情が切なくて…。

ノートの隅っこの「死にたい」という文字を見た時の彼の心情を表した

小刻みに揺れるカメラワークも、

奥さんとの馴れ初め話を聞いたコトー先生(吉岡秀隆)のシーンも

静かに募る絶望感を覚え、胸がキュッとせずにはいられませんでした。

剛洋の方も、ひな(尾崎千瑛)を危険な場に連れて喘息を起こさせてしまった事に対して

こんな自分が医者になって良いんだろうかという葛藤が最初はあったかもしれません。

 

しかし、どんな状況でも人を支えてくれるのは、自然いっぱいの大らかな島の風景の存在。

崖から見上げる夕陽。辺りいっぱいに咲くひまわり畑。

エメラルドグリーンの透き通った海。そして大海原の中照らされる朝日まで…

風景をメインに人物を引きで撮る映像が多くて、

それが島で懸命に生きる人たちを細やかながら見守ってくれているようで。

どのエピソードもウルッと来てしまいました。

途中でかかった「Believe」も、これからの未来に幸あれ!という

さり気ない鼓舞の気持ちを込めた上での選曲ですよね。

(合唱で歌ったわ。懐かしいねぇ…)

 

剛洋の行為に対して良い所に気づいてくれた親御さんも素敵だけど、

真正面からしっかり叱ってくれる父の存在もまた頼もしく。

人間性が良い人ばかりだから、コミュニティの輪が深まっていくのも頷けます。

富岡涼くんの寝ぼけ眼な演技も、作られた感じがなくて上手かったなぁ。

急に叩き起こされて父の船に乗った不思議な真夜中のこと、

大人になってもふと思い出す時が来るのでしょう。

 

来週で最終回。

お話自体は何も言う事ないし、もう十分満足なのですが…

銀の龍の背に乗って」成分が足りなさ過ぎる。

提供バックで流れただけじゃ満たされん!!(笑)

最後こそあの崖と海のシーンと共に、ガッツリ流してくれますように。