宙わたる教室 6話 感想|学校で出来た不思議な繋がり
柳田(小林虎之介)の成長が凄まじい。
気持ちを真っ直ぐ伝える人(演技)だから印象に残りやすいというのもあるし、
主人公はもちろん藤竹(窪田正孝)なのだけれど…
裏の主人公は柳田だと思って見ております。
正直、まだ第一声が喧嘩腰っぽくなる所はありますが。
ちょっとバカにした態度を取られても「頼む!」と素直に人に聞けるようになったり、
さらには、専門用語を交えつつも、冷静にかつ分かりやすく説明出来るようになったりと、
私の想像を遥かに超えるスピードで変われていっているので、
回を重ねるたびに驚かされるばかりなんです。
でも…もしかしたら、元々はこういう人だったのかもしれませんね。
読み書き能力が周りより苦手なのが原因で舐められて、
その症状に名前がある事を知らないから、俺なんか…と自分を卑下してしまっていただけで。
初回を思い返すと、今では藤竹という、自分の可能性を信じて見守っていてくれる人と
出会えて良かった…と、嬉しくもなっちゃいます。
今回は、そんな彼と同じ席に座る全日制の生徒・丹羽(南出凌嘉)に
スポットが当たった回でした。
定時制を飛び越えて、全日制の生徒のエピソードを取り上げる形で、
その時間帯に通う生徒たちにもそれぞれの事情があり、生きづらさを抱えており、
そこに「全日制だから」「定時制だから」も関係ないのだ…という事が描かれました。
丹羽は定時制だけでなく、自分の通う高校すら見下しており、
専用のコンピューター室というテリトリーにも人を立ち入らせようともしません。
その頑なに守っているテリトリーで何をやっているかと言えばコーディングで、
問題に向き合っては、解決策を考えながら1つずつ解決していく作業が
彼にとっては落ち着ける時間なんだろう…というのが窺えます。
きっと、カタカタとタイピングしている時の音も、癒しになっているはず。
そうして常に1人の世界に閉じこもっている…いや、閉じこもりたがっている。
そんな人に映りました。
なぜ丹羽がそこまでして、専用のコンピューター室にこもっての作業にこだわっているのかは
家庭環境が絡んでいて、物が倒れる音やガラスが割れる音が画面外から聞こえただけでも
うっ…と苦しくなるほど、想像よりも悲惨な状況が待ち受けていました。
冒頭でも書いた通り、今回は柳田がかなり頼もしくて、
高校受験を境に弟がどんどん精神を病んでしまった事で
自分の想いを打ち明けられる居場所をなくし、いつしか現実逃避をするようになっていた
丹羽を定時制という新たな世界へとリードしてくれたんですね。
「親を殴るってのはな、そう簡単に出来る事じゃねぇんだよ。
そんな事をしちまったら、相手だけじゃなくきっと、自分も壊れちまう。」
「家の中をめちゃくちゃにすんのはさ、誰かを傷つけたいんじゃない。きっとその逆だ。」
弟への理解を示すこの言葉も確かに説得力がありましたが、
それ以上に純粋に「良いな」と思えたのは、夕方に丹羽が学校に来た際に声をかけたシーン。
「今って、通信制の高校とかあるのに、なんで定時制なんですかね?」
「ああ〜…単純に来てぇからじゃねぇか?学校に」
柳田が科学部への入部を決めたのも、
初回で彼の友達が乱入してきた時に、学校外に出た藤竹の言葉がきっかけでした。
そう考えると個人的には、だんだん藤竹先生に似てきたな…と、
ふふっと微笑ましくもなるのでした。
最終的に、コンピューター室での作業をOKしてくれた丹羽。
「あいつらの事、お前たちが笑うな」…
「あの人たち」じゃなくて「あいつら」なのもまたリアルだったなぁと。
数年間負の感情を抱えてきたからには、
そう簡単に考え方や性格って変えられる訳ではなくて。
弟が再び学校に通えるほど心身ともに元気になるまで時間を要するように、
ちょっとずつ、ちょっとずつ…変化していけたら良いですよね。
年齢も性別も職業もバラバラな人たちが、互いにぶつかり合って、自分の知らない世界を知る。
自分を理解してくれる嬉しさとか、刺激とか、やり甲斐とか…
いろんな"生きた感情"が味わえるから、学校ってあるんじゃないかな?という気もします。
柳田と丹波によるプリントでの文通(?)も、
全日制しかない学校に通っていた私からしたら中々物珍しくて、面白かったです。
全日制と定時制、どちらもある学校ならではの内容でした。
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