トリリオンゲーム 3話 感想|違うドラマを見ている感覚に
ぼや〜っと見てしまったり、ワクワクするほど面白く感じられたり…
回によって波がありますねぇ。
今回は残念ながら前者の方でした。
恐らく、ホストクラブでの話に尺を割き過ぎたのが原因なのかもしれません。
今までとは別のドラマを見ている感覚に陥ったっていうのはもちろん、
ハル(目黒蓮)の持ち味である突飛な手法で周りを手懐けていく所も、
「規律」「規範」を重要視しがちな社会だから
その大胆さが際立ち、作品の面白味に繋がっていた訳ですが。
ホスト業界で…となるとむしろ、ナンバーワンになるためには
手段を選ばず攻略していく人が多いイメージがあるので、
彼のハッタリも霞んでしまうというか、正攻法に見えてしまいました。
ホストクラブでの話を主軸にした事で、気になる部分は他にもあります。
まず…"過程"の見せ方です。
ドラマは基本フィクション作品であり、それが漫画原作を実写化したものなら、
ご都合主義で話が動いていくのも仕方ないとは思います。
ただ、本作の場合はサクセスストーリー。
1話の感想と同じような事を書きますが…結果が分かっているからこそ、
そこに至るまでの描写過程が大事になってくる訳で。
「ハルがナンバーワンになれば、店のルールを変えられる。
そうしたら、ホストのために大量に貢ぐお客さんに『ヨリヌキ』を宣伝し
利用してもらう機会が増え、知名度と売り上げの向上を図れる。」
ホストクラブに潜入するにあたっての目的は分かるんですが、
目標金額まであと何万なのかの途中経過もざっくりし過ぎていれば、
そもそも、潜入してみてからの2人の成果も不明瞭なので、
で、今の進捗状況ってどうなってるの?とモヤモヤしてしまったんですね。
一応、3人で情報共有したり、策を考えたりするシーンは挿入されていましたが…
日数とともに、グラフの推移や数字などで具体的に示すとか、
ホストクラブ以外の外での出来事も都度盛り込むとかしたら、
会社がどの段階にいるかも分かりやすいし、"ビジネス"感も出た気がしました。
あとは、役割分担ですね。
特に、ガク(佐野勇斗)と凛々(橋本莉子)の描写に疑問が…。
凛々に関しては、ハルとガクが外に出向いている間も通常営業をしていたんですよね?
彼女の仕事ぶりと言えば、放送開始から20分程度でちょっと差し込まれたくらいなので、
3人での"連携"が見えづらかったですし。
ガクに関しては、性格的にホストが向いていないっていうのもありますけど、
市場調査・情報収集はハルだって出来ますし、
むしろハルの方がその能力に長けているんですから、
最初から、新サービスのコーディングに四苦八苦する…
という描き方でも良かったのでは?と思いました。
何が言いたいかっていうと、それぞれの役割を上手く描ききれていないって事。
ハルはコミュニケーションを得意としていて、ガクは理想を形にする作業、
凛々は物事を妥協せずやり遂げる形で2人のサポートに回る…で、
社内におけるポジションは個々で違うはずなんですね。
「登場人物の役割を分けて描く」って、ドラマにおいて割と重要だと思っていて。
そうする事で、登場人物のキャラを立たせたり、話を動かしたり、
画面の切り替えでテンポを生み出したりするなどいろんな効果をもたらすので、
それが不足していると、話がだらっとして見えるんです。
唯一、前回で指摘した「ハルがいない世界線=未来」のエピソードについては、
過去(現在)の要素を絡める形で、前後で"繋がり"を持たせていたので、
話の腰を折っている感が弱まりましたが…。
欠けている部分が多いからか、今回は、大金を得てのし上がっていく内容に
いまいち引き込まれませんでしたね。
ゲスな考えですが、目黒さんにホストを演じさせたかったんだろうなぁ…
とすら思えてしまいました。
蜜園フラワーもとい蜜園社長(余貴美子)も、
買収を提案されるほどの危機的状況に陥っているのであれば、
会社の現状や、「トリリオンゲーム」に賭けるかどうか…という葛藤を
過程の中でもっと描いてみせても良かった気がします。