PICU 小児集中治療室 10話 感想|ラストはフジ医療ドラマあるあるの展開に?
今まで以上に、武四郎(吉沢亮)・悠太(高杉真宙)・桃子(生田絵梨花)・舞(菅野梨央)
による、幼馴染の間にある根強い絆や友情が描かれた今回。
当時武四郎に助けられた悠太だからこそ言える「俺だけは、お前に絶対に気づくべきだった」
といった台詞があったように、
本作って、ドラマを魅せる上で重要だと考えている"人間"や"人間模様"の描写に関しては、
合格点を余裕で通過するくらいにはよく出来ているのです。
山田先生(イッセー尾形)のささやかな鼓舞も、純粋に胸を打たれましたしね。
ただ、それだけに、今回の内容を見ていて思うのは…
最初から4人の青春群像劇をテーマにした作品にしておけば、
PICUが出来るまでを描いて…主人公の成長期も描いて…
「朝顔」を彷彿とさせる家庭パートも描いて…医師のちょっとした陰謀論も描いて…と、
結局何を主軸にしたいのかが曖昧な印象を持たずに済んだのではないか?という事。
というのも、今回だけに関係なく「幼馴染4人組」が強調される事が度々あるんですよね。
今では桃子以外の3人が同じ丘珠病院に勤めているとは言え、
当初は悠太は別の病院の人間だったし、
桃子は変わらず、医療に全く絡んでいない職に就いている。
なのに、PICUでの患者エピソードと並行して、それぞれの絡みも描かれている。
個人的にはそこがずっと引っかかっていて、
「PICUって、小児科の病院でしょ?」なんて、幼馴染の描写に
あまり必要性を感じていなかったのです。
PICUの医療体制がどうとか、ドクタージェットの常駐がどうとか、
そういった"未完成"の設定は取っ払って…いや、そもそもPICUを舞台にするのもやめて。
4人とも同じ病院に配属されている事にして、
自分たちより長く生き、人生経験が豊富な母親のふとした言葉に時に影響を受け、
先輩医師たちや先輩看護師たちに見守られながら
一人前の医師になるべく奮闘する新人群像劇に仕立て上げていたら、
“連続ドラマ"としては十分に成立したと思っています。
もちろん、4人の出番が平等だと散漫になりがちなので、
あくまでも武四郎をメインにする形でね。
作り手はきっと、4人をどう活かすかでずっと迷われていた事でしょうけど…
どこに重きを置くかを考え直してみるだけで、
同じスタッフや役者さんでも、全く別作品に仕上がったのかもしれませんね。
こんな事言うのもなんですが、「人間ドラマ」としては素晴らしい部分もあっただけに、
整理整頓が出来ていないまま、全て使っちゃえ〜!感が内容に滲み出ていたのが惜しい…
そんな印象が残る作品でした。(もう総括っぽくなってしまってますが(笑))
で、ラストの展開は…ちょっとやり過ぎじゃないですかねぇ。
最終回直前に災害を盛り込んで大規模な内容にするのは
フジテレビの医療ドラマあるあるではありますが、別に救急医でもあるまいし…(汗)
圭吾(柊木陽太)の手術の成功を感動的に見せるため…なのと、
大勢の患者を救って渡辺(野間口徹)率いる北海道の医療団体に評価され、
植野(安田顕)を存続させるためのエピソードなんでしょうけど、
突然異物が混ざり込んできたようで、困惑してしまいましたよ…。