silent 8話 感想|ただ一緒にいたいだけ

 

 

学生時代の奈々(夏帆)が眩しい。

「ありがとうございます」といつも自筆で返す姿は健気で、

会うたびあんなに純粋な笑顔を向けられたら、

そりゃあ正輝(風間俊介)も惚れるに決まってるよなぁ…と。

なのに、正輝に恋をして、距離が縮まっていってからはその笑顔も消えてしまった。

前々回での、レジュメに想(目黒蓮)と2人で書き込みながら会話するくだり、

そして前回で「話し相手が欲しかった」と想に本音をぶつけていたシーンが描かれていた分、

1人でどこか孤独な想いを抱えて過ごしている所に、相手が心を開いて近づいてきてくれた喜びは

奈々からしたらこんな感じだったのだろうな…というのが

今回の過去エピソードを通して直に伝わってくるようで、

最後のお別れには余計に悲しい気持ちにさせられてしまいました。

 

でも、正輝が周りに手話を広めてサークルを立ち上げようとした事と、

前回で奈々が想に友達を紹介してあげた事って、似てる気がするんですよね。

あの時の奈々にとっては、正輝がそばにいて欲しかっただけで、

あの時の想にとっては、奈々がそばにいて欲しかっただけ。

しかし、本人には中々上手く届かない。

奈々は正輝との"すれ違い"で「思いやりを重ねすぎると偽善に変わる」を

経験していたはずなのに、時間が経てば、結局自分も同じようにしてしまう。

相手を大切にしたいという想いを自分なりの形で伝えたい…

それはろう者とか、聴者とか中途失聴者とか関係なく、

全ての人物に当てはまる事なんだろう…と考えさせられます。

 

現在の紬(川口春奈)と想の関係性は、奈々と正輝にとって

「両想いになっていたであろう未来=ifの世界」なのかもしれないと思わせた前半から、

後半は、紬が母・和泉(森口瑤子)と関わって"気づき"を得るまでの話が描かれていきました。

紬と想の件もあるので、今回のエピソードは大分盛り沢山ではあるんですけど、

どれも「ただ一緒にいたいだけ」を共通項にしていて、

前半は「紬と想」と「奈々と正輝」、後半は「紬と想」と「母親の存在」と

段階を踏みながら二者の関係を照らし合わせるように描いていっているので、

散漫した感覚を覚えないんですよね。

 

後半のエピソードで特に心に刺さったのは

「言葉じゃ伝えきれないからさ、物に託すの」と言う母の言葉でした。

この言葉を聞いた時、何だか視界がぱあっと開けたような、

ちょっとだけ希望が持てるような気分になれたのです。

そして、同時に思ったのは、前々回と前回と今回で"三部作構成"になっているなぁ…という事。

 

それぞれ境遇が違えば分かり合えない所も出てきて、

終いには理解しようとするのを諦めてしまう

人と人が繋がる事の「難しさ」を描いたのが前々回なら。

相手の気持ちを分かりたい、気持ちを共有したいという想いが

相手を少しずつ変えて和解出来たという「可能性」を描いたのが前回。

で…今回は、不器用が故に自分の気持ちを上手く伝えられない事に

もどかしさを感じているのなら、

物と一緒に言葉を贈ってあげたらきっと伝わるかもしれないし、

それはどんな人でも喜んでくれるかもしれないよ?という、

こうあれたら良いよね…な「理想形」が描かれる。

今回の後半のエピソードが、前々回と前回にとっての"最適解"みたいなもので、

きちっとピリオドを付ける構成になっているように思えました。

 

青羽家にあるのも、佐倉家にあるのも、

恐らく萌(桜田ひより)が買ってきて想と食べているのも、種類は違えどみんなプリン。

律子(篠原涼子)が洗濯物を畳んでLINEを送った時、

想はちょうど洗濯機に服を入れている最中で、

和泉も紬が帰省している時には一緒に洗濯物を畳んでいた。

「プリン」と「洗濯」で共通点を作る事で、

「ろう者も聴者も中途失聴者も、みんな"今"を生きる1人の人間」

「大切な人を想う気持ちは同じ」が暗喩的に表現されている所も良かったです。

本作が描こうとしているのはきっと、

“恋愛"を超越した"普遍的な愛"なのだろうな…というのがこれらの描写からも感じ取れます。

 

奈々と正輝の方も、仲直り出来そうでホッとしました。

同じ方が演じているのに、8年という月日を感じさせるほど

大人びた佇まいになっているのが、流石役者さんだなぁと思わされますね。

別れてからも手話教室を開いて続けてきた正輝の意志の強さが、

何よりもの答えになっている事でしょう。

 

次回は、紬の言葉で背中を押された想が

いよいよ実家に帰省してからの話が描かれるみたいです。

予告を見ると、どうやら2人の軋轢に本格的に踏み込むようでドキドキしますね…。

 

 

 

 

 

 

 

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