PICU 小児集中治療室 8話 感想|大切な人の命を看取るということ
圭吾(柊木陽太)の容体の悪化に、
事故で新しく運ばれてきた大輝(森島律斗)と光(寺嶋眞秀)の件に、
まだ治療に向き合い切れていない南(大竹しのぶ)に…と、
再び盛り沢山な内容だった今回。
いつもだったら、どれか1つをメインにすれば散漫にならずに済んだのに…とか、
南のエピソードはPICUの話ではないのだから…とかツッコみたくなるもんですが、
今回に関しては、患者や患者家族、主人公家族を絡めながら
“死"を意味する「終末期」と"生"を意味する「奇跡」で対比をとるような構成になっていたし。
また、複数のエピソードを重ねていった結果、武四郎の成長物語に厚みを持たせ、
差し迫る現実の中で、彼が大きな決断を下すのにも説得力を感じさせていたと思います。
特に、圭吾に優しい嘘をつくシーンなんかは、
同じ状況で「なんてバカ正直に話すんだ!」と思いながら見ていた2話の事があった分、
武四郎の成長をより実感させてくれました。
真実を真実のまま話さないようになった代わりに、
人に真っ直ぐな性格である彼は、部屋を出て、誰もいない所で泣き始めるんですね。
様子からして泣いてはいるんですけど…
彼の表情をあえて映さないように撮っているカメラワークが、
人前で弱さを見せたくないという
彼の強い意志や人間らしさを反映しているようでグッときます。
普段そんな行動をとらないであろう植野(安田顕)が、
武四郎の腕をポンと叩いて「頼もしくなったね」と言っているのを見て
もう涙腺が崩壊してしまいました(笑)
植野がストレートな言葉をかけてくれたのも、
まぁ…異動の件が関係しているんでしょうけども。
今回は内容の質の良さに、純粋に泣かされてしまったものの、
鮫島(菊地凛子)の計画に立ち入ろうとする渡辺(野間口徹)の件だけは、
どうも本作の雰囲気に合わない陰謀論の香りがぷんぷん漂っていて嫌ですねぇ。
あんまりそこは露骨に膨らませないで欲しい限りです。
東京の病院に検査しにいくと決意した南。最終章でまた本格的に描かれる事でしょう。
息子である以前に医者でもあるから、それだけ母親のために何とかしてあげたいという想いが
南に伝わったのは良かったですが…
辛いのは、家族を前にして「諦められる」事が本当に出来るのかどうかですよね。
武四郎の場合、子供の頃からずっと2人で過ごしてきましたから…
死を覚悟するなんて、中々至難の業だと思いますよ。