大豆田とわ子と三人の元夫 2話 感想|面倒臭いけど憎めない人の為の処方箋
もうこれはまんまと術中にハマっているのだろうか(笑)
途中までは、1聞いたら10の屁理屈を返す慎森(岡田将生)…
いくらイケメンでも超めんどくせー!って思っていたのに、
公園で愚痴るシーン辺りからあまりにも憎めなくて、頭を撫でたい衝動に駆られましたよ。
変な走り方で警察署まで行くのも、
「友人です」じゃなく意地はって「離婚した元夫です」であくまでも"夫"を強調して
まだ未練がある感じを仄めかすのもまるっと含めて可愛い。
で、本作は新しい形の"胸キュン"だなぁ…とも感じられます。
ここ最近の作品は良くも悪くも「〇〇キュン」を文字ってそれを公式が推して、
2人の距離が徐々に近くなっていく過程を描いたり、はたまたあざとい演出で
視聴者をメロメロにさせるのを狙ったりして作るタイプの作品が多いけれども、
本作が描いているのは"終わった恋"。そこから何も発展はしない。
でもまだ好きで、まだとわ子(松たか子)の愛に触れたくて、
もう別れたはずなのについおでこを合わせて充電してしまう姿は、
側から見たら彼の想いがストレートに伝わってドキドキして、なんか可笑しくて、
こんな事しても元の関係には戻れない切なさもあって…。
離婚した人々の話なのに
1つのシーンだけでいろんな感情がうごめいてしまうの、今までになかったかもしれません。
「別れたけどさ、今でも一緒に生きてると思ってるよ」
とわ子が慎森に言ったこの台詞も、潔さがあって好きです。
本作がどんな内容なのかを物語っている台詞だとも思います。
別れた夫でも、友人に戻るでもない、いろんな形を集約した"パートナー"…
最後に彼がちょっとだけ変われたのも分かる気がしたなぁ…
いちごのタルトのくだりも、伝わらないようで何となく伝わる。
とわ子を「女は強い」の象徴として描くのではなく、
ドジっぽい部分もあって、時に弱くて、でも基本的には自分らしく生きようとする
正直な性格の女性として描く所も心地良い。
小洒落た台詞のオンパレードでも酔っている感じがしないのは、
言葉に翻弄されて、人と付き合う事が何かが分からなくなって…という
人間関係の難しさが潜在的に表現されているから。
かと言って湿っぽくならず、「みんな、こんな人生を笑ってくれ!」なんて軽さがあります。
可笑しさの中に応援したくなる魅力がある…
ED映像の世界観にうっとりし、登場人物まとめて愛おしく思える作品です。