VIVANT 10話(最終回) 感想|ごめんなさい…私は苦手だったかな。

 

 

※最終回を見て「面白かった!」「続編希望!」と絶賛された方は

ブラウザバック(1つ前のページに戻る)する事をオススメします。

悪口にならないように気をつけましたが、全体的にネガティブな感想です…。

 

長いテーブルを2台用意して、そこに乃木(堺雅人)たちと政府それぞれ一列に並んで座って

対話を重ねて、「味方のつもりが実は敵でした!」という逆転劇も描いたシーン…

ドラゴン桜2」の最終回でも見た!って気持ちになっちゃいましたよ。

そのシーンだけでなく、金利だとか、売却だとか、

ビジネス用語がちらほら飛び交う所も相変わらずです。

結局、モンゴルでも日本でも、いくら予算をかけようがやる事は同じなんだと…

あのスタッフなので元々期待はしていませんでしたが、

テントの内部が描かれ始めて以降、最後までワンパターンな作りだったのには

正直、落胆してしまいました。

 

構図はなんちゃってビジネスドラマの割には、

“お飾り"程度に日本への愛国心を訴える台詞も盛り込むもんだから、

それが物語の整合性の取れなさと、軸のブレを加速させてしまっているんですよね。

最終回で最も気になったのは…ベキ(役所広司)の

「ニッポンでは古くから、ありとあらゆるものに神が宿っていると考えられてきた」

「ニッポンには、考えの違う相手を尊重する美徳がある」という台詞。

今に始まった事じゃないですが、昨今のニュースを見てみれば分かる通り

日本には歪な部分も持ち合わせているので、

日本ってそんなに崇拝されるような美しい国か?それって価値観の押しつけではないのか?

と違和感を覚えてしまうのはもちろん。

この台詞を、目的達成のためにテロ行為や殺害などで、

多くの命を犠牲にしてきたベキ自らが発している辺りに矛盾が生じてしまうのです。

簡単に言えば、言ってる事とやってる事、全然違くない?って。

 

それは乃木率いる別班も同じで。

彼らも法に則って犯罪を取り締まる警察とは違い、

目的や手段のためなら犯罪まがいの行為をするグレーな組織なので、

別班に所属している乃木が「美しい我が国を汚すのは許せない」と

正義感を振りかざして言ってしまう所に変な印象を受けてしまいます。

彼らだって、過去に山本(迫田孝也)を吊し上げたり、

不法侵入罪や情報窃盗を犯したりしていますが、そこは完全にスルーなんでしょうか?

私としては…悪役として描いたのならば、変に情も入れず

最後まで悪役に徹して欲しいんですよね。

 

仮に、日本を美徳としている描写も、「この国がこうあって欲しい」みたいな

作り手自身の小さい頃からの"願い"の意味合いが込められているのが伝わってくれば

取り入れるのもまだ理解は出来たかもしれませんが…。

それとは裏腹に、各組織の陰謀論やお仕事描写、愛の物語と

作風がバラバラの要素を盛り込むから、かえって薄っぺらく感じてしまうんだと思います。

 

気になった部分は、豪華出演者の一部の扱いの雑さにもあります。

例えば、ただ不倫問題を起こしただけの役を演じられた小日向文世さんとか、

また同じような役を演じさせられた馬場徹さんとか、

「妻を殺した復讐のターゲット」として、急に日本ではなく個人に矛先が変わり、

構想を練っているらしいシーズン2の主要人物になるんだとしても、

ぽっと出のご出演で終わってしまった橋爪功さんとか。

どの方もそれぞれ、ご本人の持ち味がイマイチ活かされていないような役回りばかりなんです。

特に橋爪さんに関しては、今年の冬に放送された「6秒間の軌跡」では

せっかくベテラン俳優ならではの存在感を見せていただけに…

たった数分でいきなり不憫な目に遭わされる役だったのが

勿体なくて仕方なかったですし、

むしろ、なぜ起用したんだろう…?っていう憤りすら覚えました。

 

あとは…今まで思っていて、最終回なので初めて書きますが、

女性の役者さん方やドラムの描写にも言えますかね。

前者でいえば、また列挙になっちゃいますが…結局裏がある訳でもなく

ただ恋愛模様を描くための人物で終わった薫(二階堂ふみ)や、

不倫をし、さらにはモニターに脅迫されぞんざいに扱われた太田(飯沼愛)、

病弱であるジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)と、

勇敢に動く男性キャラに対して、女性キャラは総じて「健気・か弱い」イメージに

偏って描かれている所に、女性へのリスペクトの欠如と配慮のなさを感じるんです。

そして後者は…富栄ドラムさん自身の、喋らなくても愛くるしい気持ちにさせるような

動きや表情作りは良かったですし、

途中までは、スマホを使ってコミュニケーションをとる設定も可愛いとは思ったんですが、

彼が話せなくなったきっかけや幼少期の背景についての描写は最後までなかったので、

回を重ねるにつれてどんどん「癒しキャラ」「マスコット」として

消費されて終わってしまったのが、なんだかなぁ…と。

特番だけでなく、某グルメ番組での番宣や

番組ラインナップ紹介のCMでもあのキャラで通してましたけど。

世界観を壊したくなかったんでしょうし、ご本人のご意向ならまた話は変わりますが、

個人的には、ここも演じている役者本人そのものは見ておらず、

このキャラを通す事で"おもちゃ"として面白がってるように感じられて、

あまり良い気はしなかったです。

 

ラストのどんでん返しにしても、前半は半沢直樹もどきの話を散々繰り広げて、

それも行間なんて存在しないかのような説明台詞と解説続きで

視聴者に難解さを覚えさせた後でのあの展開だったので、

驚きよりも置いてけぼりにされた感が強かったですね。

ふ〜ん…衝撃を与えたかったのね…

考察好きの人にとにかく考察させたかったのね…って冷めた目で見ておりました。

唯一驚いたのといえば、どこぞの世界の田舎()⇄東京よりも

バルカ共和国⇄東京の方が、サクッと帰れるほど距離が近かった事くらいかな(失笑)

 

動画やネット配信などでテレビ離れが加速していく中で、

約3ヶ月での海外ロケに力を注ぎ、豪華キャストを大勢揃える形で

テレビ業界を盛り上げようという意気込みは画面上からも伝わってきましたし、

テレビドラマ好きの私からしたら、視聴者にワクワクを届けようと

時間をかけて準備して下さったスタッフへの敬意は決して否定したくはないんです。

役者さんも、この作品に熱を注いでいらっしゃるのが伝わってきて、

他の仕事やロケで多忙に追われる日々の中で

役を細部まで作り込んで下さった事にも感謝しておりますし。

役者同士の演技合戦を地上波で堪能出来ただけでも、見る価値はあったと思っています。

素敵な部分もあったからこそ、壮大な物語にするならするで、

何を視聴者に訴えたいのか、どんな題材を扱うのか

もっと絞り込んで欲しかった…そう思います。

 

 

 

 

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