着飾る恋には理由があって 9話 感想|相手にかけてあげる言葉の難しさ
怒りを引きずらず、間に合わなかった件についてすぐに謝れて、
電話した事やその電話番号が駿(横浜流星)だと気づかなかった事もきちんと共有して、
お詫びにご飯作りました!今度こそ2人で出かけよう!と自然な流れで次の予定も立てて…
2人の間に心のすれ違いを生じさせる形で話を引き延ばす展開にしないの、
恋愛ドラマではかなり珍しいし、本当に潔くて良いなぁ。
前回の感想にも似たような事を書いたけれど、駿を一度好きと決めたら
その気持ちにブレがないんだもんな…真柴(川口春奈)は。
確かに、視聴者には登場人物の心境を早いうちに分からせて、
それが意中の相手にはまだ伝わっていない(あえて描こうとしない)所に
歯がゆい感情を抱えさせて、
「本当は違うのに!」「早く想いを告白しちゃえば良いのに!」などと言わせて
盛り上げる恋愛ドラマだって全然アリ。
それはそれで登場人物に感情移入して、
応援する事に熱中してしまいたくなる面白さがあるから、否定はしない。
でも、全てのカップルが先延ばしにするタイプだとは限らないだろうし、
2人みたいにあっさりと想いを打ち明けられるカップルがいたって良いじゃん♪って思ってます。
シェアハウスの住人同士で、部屋も隣だから…っていう共通点のお陰でもあるかもしれませんね。
そもそも、真柴と駿がぶつかるべき問題はそこではないですし。
にしても、おしゃれな物に囲まれて着飾る事を辞める真柴に、
将来を考えて画家になる事を諦めようとする羽瀬(中村アン)ねぇ…。
2人の描写を見ていると、ちょっと「コントが始まる」と重なってしまいました。
(一度でも)注目の的になった者、長い間日の目を浴びなかった者で状況は違うんですが、
どちらの作品の登場人物にしても「キラキラ輝いている世界に入る事を夢見ていた自分」
「いつしか"現実"ばかりを目の当たりにするようになり挫折を覚えてしまった」点では
似ている気がします。
で…未来人でもない限り、こういう時はどんな言葉をかけてあげるべきか、
彼女にとってどんな選択が正しいのかなんて分からない。
でもさ、陽人(丸山隆平)の場合、
「せやったら」から始まるプロポーズは違うなぁ…と思っちゃいます(泣)
言葉は言い方1つで結構変わる。
弱っている羽瀬を想って言ったのは理解出来るけれども、
その言い方だと逃げ道を作っているかのように聞こえるので…これは羽瀬の方に同情します。
一方で、駿の方は"あえて言葉を濁す"のが焦れったい。
でもそれは、真柴が最終的に自分らしい決断をしてくれる事、彼女を信じている証拠でもある。
真柴は彼から「じゃあ一緒に逃げちゃおうか」って言葉が欲しかったのかもしれないし、
元々は自分と違って何も持たない所に惹かれて好きになったんだけど、
彼も同じように、過去からずっと逃げていた自分に前を向いて歩き出す力をもらって
今こうして新たな道を切り開いて行けているから、
その成長をずっとそばで見ていれば、「求めている言葉をくれる=優しさ」ではない事には
気づくはずなんですよね。
インフルエンサーを諦めて北海道に行くか、それとも東京で頑張り続けるか…
最終回前に恋人が転勤するくだりは王道でも、この2つの選択肢で揺れ動く所は
実に本作らしいなぁと思います。
そして…今回も星野源争奪戦は葉山(向井理)の勝利。
あれはずるいさ。駿派の私でも、通行人に泣いている姿を見せないように
そっと隠すシーンにはやられましたよ。
しかも、「俺が今隠してあげてるぜ!」じゃなくて
「あれ…もしかして、隠してくれてる…?」って薄々気づく程度のさり気なさ。
しかーし!もう遅い。残念ながら、来週で終わりなので、当て馬になってもらわなくては…