大奥(2023) 15話 感想|逆襲は果たされたけども…

 

 

今回をもって、医療編が完結。

いやはや…「怒涛」「理不尽」という言葉が似合い過ぎました。

個人的に一番辛いのは家光編だと思っていたのですが、

医療編では主人公を固定化せず、赤面疱瘡の撲滅にかける

それぞれの"想い"が平等に描かれたからこそ、

不条理な現実の連続には心が打ち砕かれそうになったり、

希望が見えてきた時には縋るように見てしまったり…で

感情がぐわんぐわん揺さぶられる事が多かった気がします。

 

今までの編の中では、比較的報われた終わり方だったのかもしれません。

長い年月はかかれど、目標は無事に達成出来て、

今はもう亡き青沼(村雨辰剛)や源内(鈴木杏)、意次(松下奈緒)に

「3人の支えのお陰で、人々を救えました」という感謝の意を竹とんぼに込めて

手紙代わりに送っているかのような終盤のシーンには見入ってしまいましたし。

人が苦しんでいるのを楽しむ事を生き甲斐としていた治済(仲間由紀恵)にとっては、

ある日突然コロッと亡くなるよりも、

寝たきりのまま余生を送る方がよっぽどの地獄でしょう。

御台(蓮佛美沙子)とお志賀(佐津川愛美)の計画も緻密に練られていて、

もちろん素晴らしかったです。

 

けれども、それでも「スカッとした!」とは言えず、

どこか晴れない気持ちで見終えてしまったのは…

やっぱり、治済というモンスターが、多くの人の人生を狂わせた事実は

今後一生変わらないからなんだと思います。

彼女がいなければ3人はまだ生きていたかもしれないし、

お志賀も命を犠牲する事はなかったかもしれない。

そんな罪深き女性に仲間由紀恵さんをキャスティングしたのは、実に説得力がありました。

 

前回では"静"の演技と"動"の演技で、同じ怒りの感情でも全く違ったものに見せる

緩急のつけ方に新境地を感じさせましたが、

今回はそれに加えて、治済をより恐ろしい人に仕立てようとするのに

演出や衣装が拍車をかけていましたね。

不気味な微笑みを浮かべる唇のアップに…

武女(佐藤江梨子)がお茶を飲んで咳をした際に出た血の色が

治済の唇の色でもあると思わせる狂気じみたインサートに…。

そして、何気に凝っていたのは着物の柄や色味のグラデーションの付け方で、

前回は白の割合が多かったはずが、今回では徐々に黒の上着が金で埋め尽くされるようになり、

赤や黄色といった原色も取り入れられていた所が、

闇に飲み込まれていく悪女っぷりが上手く表現されていたように思います。

 

前回の感想で書くのを忘れてしまったのでここに書きますが、

最初は明朗快活な性格だった御台が、治済の罠に嵌って以降は笑顔がすっかりと消えて

別人みたいになってしまうのが、かえって彼女の異様さを際立たせていて良かったですし。

上様だとは信じられないような、弱々しい家斉に中村蒼さんもぴったりで。

治済の死を機に気持ちを引き締めたのだというのが感じ取れる

終盤の口調や所作、顔つきの変貌なんかは、

自然と家光の啖呵シーンと重ねながら見ておりました。

 

恐らくここから残り5話は、幕末編の話になるんでしょうね。

仲間由紀恵さんの次は高嶋政伸さん…うん、別ベクトルで濃い!w

いや〜それにしても、本作を見ていると時の流れが早くてね…

ウン千回言われている事でしょうが、こんなスケールの大きさで大河ドラマじゃないなんて

つくづく勿体ないです。

でも正直な所、もし大河だったら、時代劇が基本苦手な私なら

スルーしていたかもしれないのかぁ…と考えると、

連続ドラマで出会えて良かったとも思えたり(笑)

 

 

 

 

 

 

 

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