コントが始まる 7話 感想|一番の理解者だった4人目のマクベス
いつも流れるアバンのコントパート。
今回は割と何を表しているのかは分かりやすかったですね。
富豪達に仕掛けられているらしいカメラは、「現実」という名の世間からの圧力。
全員金髪なのは、みんなで同じ方向を向きたいから。
で…潤平(仲野太賀)が無人島に持っていきたい物で何も書かなかったのは、
2人が必要な存在だと思っているから。
これだけ想像出来るほどちょっとしんみりさせられるコントだった分、
最後のオチが笹かまなのには笑いましたけどw
それにしても、「少しずつ動き始める音がした」かぁ…。
出会いと別れは本当に背中合わせって言いますよね…。
里穂子(有村架純)は「先輩」になろうと、就職に踏み切る形で
確実に前を向き始めているし、
つむぎ(古川琴音)と駿太(神木隆之介)はお互いに距離が近づき、
恋愛という名の幸せを手に入れようとしている。
潤平は本格的に家業に専念する事を考えている。
みんな「現在進行形」。
しかし、その中で春斗(菅田将暉)だけが唯一立ち止まっている。
そんな彼が、4人目のマクベスが車だと気づいて
ぐしゃぐしゃに泣くのは…もうこっちが情緒に訴えかけられっぱなしでした。
車まで去ってしまったら、近くにいてくれるモノはいなくなるんだな…と。
10年間乗ってきた車。
それは、何年前だか分からないカップラーメンの匂いが染み付いた車でもあり。
ソファのクッションはすり減り、照明も何度も酷使したけども、
3人がお笑いに対して諦めを見せなかったのと同じくらい、
10年間も故障しないでいてくれたタフな車でもある。
洗車をしながらその車に乗って出来た思い出話に花を咲かせる時に、
メインで語っている人をアップで映すのと同じくらいの分量で
いろんな角度から「車の全体図+3人」を映している映像は、
まさしく"4人で作り上げてきたマクベス“という感じがして、
別れの日が来ると思うと一気に切ない心地にさせられました。
初回で出てきた福岡のラーメン屋での話が1ヶ月前の出来事だったと知ると、
静かに流れていた劇伴は無音に変わり、
急激に「楽しかった時間は止まってくれない」現実味が襲ってくる。
でも、みんなで車の存在の大きさに気づいた時は、
寂しさを醸しつつも1つ1つの音階は高くて軽やかで、
別れを惜しむ3人をそっと励ますかのような劇伴を流し始める…という
さり気ない雰囲気作りの演出も良かったです。
もちろん、ナレーションもない、"3人だけの空間"でしかないシーンだから、
それをぐっと引き込ませるものにしたのは演技力の高さも大きいんですけども。
なんでもない会話なのに泣けてくるのも凄いし、
演出をあえて大人しくしたのは、役者さん達の演技に信頼を寄せているから…なんですよね。
確かに別れが訪れるのは辛いけど、
最終回ではみんな幸せな形で終われるだろうと私は信じてます。
車は里穂子が買っている可能性もあるかもしれないし。
もしかしたら、いろんな物事を吸収し、外の世界を経験してきた3人が
仮にマクベスを再結成したら、ネタが驚くほど面白くなっているかもしれない。
今でも実体験をネタに取り入れてはいるものの、
あくまでも"高校時代の延長"上にいる関係性だから、内輪受けの方が多くなってしまって
あまり人気が出ない状態だったんだと思いますしねぇ。
コントよりも、日常生活でのやり取りの方が圧倒的に面白いですからね。