半径5メートル 4話 感想|"かもしれない"世界で育まれる親子の関係
楽しみにしていた香織(北村有起哉)の回。
やはり、今ではSNSが主流になっているだけに、
今回のテーマが最も"身近な問題に斬り込む"本作らしかったですね。
いつからスマホを持たせるか問題、Twitter、オンラインゲーム…
劇中では触れていませんが、顔出しの多いTikTokとかも。
あまりにも発達し過ぎているから、親世代だと経験していない事や、知らない事、
自分では考えられない事がどんどん出てきて、
年の差が離れていればいるほどジェネレーションギャップに陥りがち。
しかし…いつの時代でも変わらないのは、親が子供を心配する事。
親の方から歩み寄っていかないと、子供に気持ちが伝わらないっていうのは
不変なのだと考えさせられるお話でした。
否定的に捉えられるイメージのある「若者のSNS」も、
本作の場合は心温まるヒューマンドラマに味付けされる。
だからと言って、SNSに潜む危険性をスルーした呑気な内容になっている訳でもない。
成りすましの成りすましも、もしかしたら保護団体の成りすましだってあるだろうし。
自分の行動を無防備に書き込む事による、ストーカーが浮上してしまいそうな危うさとか、
「だれか泊めて」ってタグをつけたらすぐに複数の男性から反応が返ってくる怖さとか、
利用の仕方次第では危険に晒される可能性があるかもしれない…という含みは、
ある程度持たせていたように思います。
人物描写においては、北村有起哉さんは光っていたなぁ…。
ファミレスで娘に会うために父親の姿になり、男性として接しようとするんだけど、
話し方や、話し終わる際の声色からは、所々女性らしさが漏れ出す感じがむしろリアル。
完璧に隠せられないのは「自分らしく生きる」をモットーとしているからなんでしょうね。
娘に正体を特定されて「どうして分かったの?」と言う前のほんの少しの"間"に、
動揺や嬉しさが一気に込み上げるのが伝わる声の演技も凄い。
そして、個人的に本作で好感度が増したのは、
今度うちに遊びにおいでといった旨のメッセージを娘に中々送れない時のシーン。
「送っちゃえば良いじゃん!」と言わんばかりに、
誰かがスマホを抜き取って代わりに送るとか、うっかり送信ボタンを押してしまうとかではなく、
宝子(永作博美)のハグで勇気をもらい、"自分の意思で"送った…とする
描写に落とし込んだのが良かったです。
次回は前後編。かつて噂になったブラックサンタを題材にしているんでしょうかね?
今回も面白かったですが、盛り込み形式ではなく、
そろそろ1話みたいな「宝子に振り回される風未香(芳根京子)」の関係性を
メインにした話も見てみたい気はしています。