生きるとか死ぬとか父親とか 2話 感想|淡々とした中で湧き出るトキコの感情…
本作の物語は淡々と展開されていき、実にサバっとしています。
劇中でトキコ(吉田羊)が両親の話を聞き出すように、
登場人物を自身と重ねて共感して見るよりかは、
誰かの出来事や思い出話を人伝で聞いている感覚を覚えます。それが良い。
叔母(松金よう子)が旅立っていった時のシーンや、
葬儀場での副葬品に関して感情をぶつける哲也(國村隼)のシーンは
演出や演技でドラマチックに作って視聴者の涙を誘う事も出来たはずですが、
これもあえて淡々と映す。
そうすると、叔母さんは子供のようにはしゃいで楽しそうで、
普段は出来ないオシャレまで出来て
相当最高な日を過ごせたんだろうなぁ…っていうのが伝わるし、
「こんな小さいもので!」って怒りたくもなる哲也の気持ちも分かるし、
逆に葬儀屋の立場からしたら、理不尽さを訴えてくる大人に
今までたくさん出会ってきたんだろうなぁ…というのも察せられる。
台詞の量も間も程良い。
哲也のシーンの場合は、引きの映像で映したのが"他者視点"っぽさがあって
余計にそう思えたのかも。
限定づけた一方的な見せ方じゃなくて、日常・経験を普通に描いている分、
登場人物がこの時どう感じているのかを想像出来る楽しさがありますね。
個人的に一番気になったのは、散々言うだけ言って
口紅を棺に入れて去っていった哲也の姿をずっと見るトキコの表情。
その後挿入された回想からするに、
叔母の事をそれだけ大切に思っていてくれていたんだ…と捉えられそうですが、
それと同時に、女性と遊んでいて、母が亡くなったのを知った時は
今と同じように熱心に向き合ってくれたのかな…という
モヤっとした疑問が現れてきたようにも思えました。
そして、「あの時」のシーンが現状とシンクロさせる形で
意図的に挟み込まれるのも気になりますねぇ。
今でこそ丸くなって大人になれている親子ですが、
トキコから見た父親への感情に触れているとなると、
回を重ねていくうちにぶつかり合う展開がやってくるんじゃないかと
既にドキドキしております…。