イチケイのカラス 1話 感想|雰囲気の楽しさは約束されている感じ。

 

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最初に、イチ視聴者がおこがましい評価をしてしまってすみませんが…

初回を見た「満足度」「まだまだ改善の余地がありそう度」を比で分けるとするならば、

(6に近い)7:3 といった感じ。

後者が3である理由は後で書くとして、先に本作の良かった所を挙げてみようと思います。

 

まず何と言っても、良い意味で月9らしくない重厚さとリズミカルなテンポのバランスが効いた

演出に惹かれてしまいました。

アバンでいきなり主人公の訳ありな過去を仄めかす構成には真新しさはないものの、

その後の喧嘩をする"謎の人物"の2人を映画ちっくに引きで見せてからの、

言葉巧みに中学生達を味方につけてしまうみちお(竹野内豊)の飄々とした佇まいといった

シリアスとコメディの温度差の大きさが面白い。

その他にも、人物紹介をはじめとしたテロップの処理の仕方、

法廷界の構図の見せ方が実にスピーディであるだけでなく、

更にみちおと坂間(黒木華)のボケツッコミかのようなやり取りが

頻繁に挟み込まれるので、画面に食いついて見るくらいの飽きさせない魅力があります。

実際、前半は、1分間に1回は必ず笑っていた気がします(笑)

 

好きな俳優が月9に出るというワクワクした気持ちで

本当は期待度を★星5にしたい所を抑えて4にした理由として、

事務所の机が壁に向かって一列に並んでいる非現実さや、

裁判官の範疇を超えて弁護士のような現場検証もするという"欲張った設定"から

「ラジエーションハウス」や「アンサング・シンデレラ」の

二の舞になってしまうのではないか?と不安に思っていたからなのですが。

その点に関しては、あなたの職業は警察官ですか?と

坂間が視聴者目線でツッコんでくれる台詞があったり、

辞書を引用して裁判官の権利を示してくれる演出が施されていたりしたので、

そこは安心して見られそうです。

あと…多分、「キャリアが長そうだから」っていうのも大きいと思うんですよ。

比べちゃ悪いんですけど、さっき挙げた2作の主人公は

どちらも若々しいイメージが強かったじゃないですか。

だから、いくらその人が腕の良い人だったとしても、

若造が知識経験豊富な上司を差し置いて手柄を取るなんて事があるのか…?

というあり得なさの方が勝ってしまう。

一方で、渋みを増した方をキャスティングすると、一見考えが真逆でおかしい人でも、

きっとこの人はこういう変わった手法で多くの依頼人や検事達の信頼を得てきたんだろうなぁ…

だから裁判官を続けていられるんだろうなぁ…という

不思議な説得力がある圧迫面接を想起させるシーンは気になったけれども(苦笑))

そんなに"フィクション臭"を感じさせなかったのは、

視聴者へのちょっとした補足の仕方や配役の上手さにあったのではないかと踏んでいます。

そして、真相が明かされる流れも説明台詞ではなく、映像で語らせたのも良かったです。

 

では、それだけ良かった点を挙げておいて、

残りの「3」は何だったのか?という所ですが…

まず、竹野内豊さんがあまりにも"可愛いキャラ"なんですよね。

あ、ただのファンの呟きじゃないです(笑)

公式が"クセ者"とうたっているんだったら、「何だこの人!?」と思うくらい

もっともっと尖ったキャラに味付けしても良いんじゃないかなぁという事。

舞台が舞台なので、いろんな某有名法廷ドラマが頭に浮かんでくるでしょうが、

個人的には「現場検証をじっくり行う」という共通点から

「99.9」の深山から親父ギャグをなくして、薄く仕立て上げた主人公のように映りました。

会話劇は今のままでも十分楽しいし、ふるさと納税品を集めるユニークさもあるのですが、

基本悪くないだけに「もっとこうしたら…」という欲が出てしまった感じですかね。

 

そして、「フィクション臭を感じさせない」と先ほど書きましたが、

坂間は意識改革役を買って出て、裁判長の推薦のもとに地方から配属されるほどの

“出来る判事補"の割には、目撃者の証言に少しも引っかかりを覚えず

すぐに偽証はないと決めつける描写は気になりました。

効率性重視だから発想が貧困なのかどうかは分かりませんが、

とりあえず、悩みはなく真っ直ぐな性格の坂間に

「悩まなくて良い事に悩む」というメッセージを残す事で、

彼女の成長物語パートも1つの縦軸として描いていく形になるのかな?とは思います。

あとは…父からの腕時計で泣かせるくだりは、ちょっと余計だった気がしないでもない。

真相が暴かれるまでプレゼントは渡されなかったのか…

それになんで裁判官が持っているんだ…って事にもなるし(笑)

ついでに書いてしまえば、運転士や乗客は

子供を助けるまでの一連の流れを見ていたのではないか?も疑問でしたが…

もうこれ以上は良いか。

人情エピソードに関しては、初回は恒例の30分拡大だったために尺を埋めたのだろうと解釈し、

2話で15分拡大、3話で通常放送になっていくごとに

泣かせに走る可能性は減っていく事を期待したいです。

 

まぁ、あれこれ書きましたが、

期待に反して大コケしなくて良かった〜…というのが第一の感想です。

雰囲気は本当に楽しめそう。

正直に言ってしまうと、基本的に私は

「好きな役者が出ている事」と「ドラマの内容」は分けていて、

例えば「〇〇がかっこいい」「〇〇が可愛い」といった容姿的な部分を

作品自体の感想に含めないように公平に見ているつもりなんですが…

その点ではもう大変でしたわ(笑)

「じゃっ!」とか、みちこにモテモテだとか、法廷で被告人に見せる柔らかい笑みだとか、

コロコロと表情を変えるみちお=竹野内豊さんについ口が緩みっぱなしよ。

でも、威厳のある役や真摯的な役よりも、

ちょっととぼけた役がやっぱりハマる役者さんだと思います。

黒木華さん、新田真剣佑さん、小日向文世さんとキャストも個性的だし。

うん、充実した1時間になりそうです♪