監察医 朝顔(2020) 8話 感想|つぐみだけが救いの"孤独編"始動。
つぐみ(加藤柚凪)がいなかったら、もっと重くなっていただろうなぁ…と思えた1時間。
正直、「孤独編」というワードに加えて、今回の児童誘拐事件となると、
つぐみもまさかお泊まり先で模倣犯にさらわれてしまう展開が来るのでは…なんて
いらん事を考えてしまったんですよね。
本作は前シーズン以上に、良くも悪くも
主人公達に襲いかかる"試練"を重点的に描いている印象があるので。
結果的に、朝顔(上野樹里)が本当の意味での"孤独"にならなくて済む。
が、タッパーに詰め込まれた料理を黙々と食べたり、食堂で食べたり、
カップラーメンを食べたり…と、食生活に"孤独"が滲み出ている所はやっぱり切ない。
仕事から帰ってきて、和気藹々とした雰囲気の中で今日の出来事を話しながら食卓を囲む
家族の姿を今まで見てきた視聴者からしたら、
それぞれの3人の姿はまるで非日常のようでした…。
「孤独編」に絡めるならば、幼い娘だった栞里を亡くし、
あれからぽっかりと心に穴が開いた状態で生き続けていた父・浅野(森下能幸)と、
“父には見えていなかった"息子の心情にも繋がる今回の事件。
監察医のバイトくんの予想どおり、事件の動機は
我が子を殺した犯人に対する復讐心によるもの。刑事ドラマではよくある結末だと思います。
しかし、「復讐はやっぱり良くないね」とは言える状況ではなく…
なんならその行動に走った事に共感してしまいました。
つぐみと同じくらいの年齢の子の命を奪われ、
その部位が土から発見されるたび確認はするんだけれども、結局右手だけは返してもらえず、
さらには警察側の判断で捜索が半ば強制的に終了。
「みんな、まるであの子がいなかったかのように」と遺書に書かれた言葉が刺さる。
犯人にも娘の苦しみを味わせたい…と思ってしまうのも当然な訳で、
長年の間"その感情"だけを抱えて生きてきたような、
森下能幸さんの執念に満ちた声の演技に背筋が凍りつきました。
しかし、犯罪者の犯した罪の重さと今までの事情を考慮しても、
残された息子は"加害者の子供"というレッテルを貼られてしまうのでしょうかね。
出所して更生しようとしている人が被害者にやられるなら酷な話ですけど、
今回の場合は同じ過ちを犯そうとしていましたからねぇ…
もし浅野が助けていなければ、
また幼い誰かの子の命が奪われてしまっていたかもしれないんですよ。
我が子を守りたい。我が子を日常的に潜む悪から救ってやりたい。
でも一歩間違えれば、"良心"のつもりが"悪意"に変わってしまう世の中で生きている。
考えさせられる内容で終わりましたが、来週もまた一波乱あるようで…
2時間もあるので、その中で起こった話を引っ張る事はないでしょうし。
新年(2クール目)は晴れやかなスタートを切って欲しいですけども。